個人サロンや小規模サロンにとって、都度払いのみの経営は集客コストが高くなりがちのため安定経営には結びつきにくいことが多くあります。本記事では、サロン経営を安定させ顧客満足度向上が見込める「高額コース・回数券」の導入について解説します。
目次
小規模サロンが高額コースを検討すべき理由
都度払いだけではなく「高額コース(回数券や継続プラン)」を導入することは、経営を安定させるための重要な戦略です。まずは、小規模サロンが高額コースを必要とする理由について解説します。
売上単価(LTV)を向上させる
LTVとは、Life Time Value(顧客生涯価値)の略で、ひとりの顧客が通い始めてから通い終わるまでの間に、サロンに支払ってくれる合計金額のことです。
例えば1回1万円の都度払いメニューのみしかないサロンの場合、お客様が「忙しいから」と来なくなればその顧客のLTVは1万円ということになります。一方で、「5回コース:35,000円(1回あたり7,000円)」を契約いただければ、その顧客のLTVは35,000円に確定します。
小規模サロンはベッド数や稼働時間に限界があるため、安定経営のためには一人ひとりのお客様からしっかりと売り上げを確保する必要があり、そのためにも高額コースの存在は必須と言えます。
顧客を「契約」で繋ぎ、安定した予約を確保する
小規模サロンにとって、予約がない、または予約がキャンセルになってしまうことは売上げ減少に直結するため避けたい問題です。回数券コースメニューを利用しているお客様は先に回数分支払っているため、施術後に次回の予約を行う確率が高く、予約キャンセルもされにくい傾向にあります。また、当月や次月のコース消化のお客様数も把握できるため売上額の予想が付きやすく、早い段階での対策が可能です。
新規集客のコストと労力を削減する
一般的に「新規客を獲得するコストは、既存客を維持するコストの5倍かかる(1:5の法則)」と言われています。ネームバリューがない小規模サロンが新規集客するには、ホットペッパービューティーなどのポータルサイトに掲載しないと難しい現状があり、広告費が発生してしまいます。その点、高額コースや回数券によって既存客が定着すれば、無理な新規集客を行う必要がなくなり集客コストが削減できます。
また、長く通い効果を実感しているお客様はサロンのファンになりやすく、質の良いお客様を紹介してくれる可能性もあります。既存顧客の満足度を向上することが、新規集客にも繋がります。
高額コース・回数券を導入するメリット
小規模サロンが高額コースや回数券を導入することは、大きな経営的メリットをもたらします。以下の3つの視点から、本質的なメリットを深掘りします。
経営の安定化・効率化
高額コースや回数券は、「将来のサービス提供に対する代金」を先に受け取ることができます。まとまった現金が一括で手に入るため、最新機器や広告費などへの投資がしやすくなります。
また、コース契約や回数券利用があれば来月の最低限の売上げが確定しているため、経営数字の見通しが立ちやすくなります。
顧客満足度とリピート率の向上
痩身や肌質改善の施術効果は1回では定着しにくいため、コース契約や回数券によって高頻度で通うことができれば、結果もコミットしやすく顧客満足度向上に繋がります。また、先に回数券を購入することで、顧客に「回数券があるから行こう」という心理が働きリピート利用に繋がります。
予約管理と業務効率
次回以降の予約を事前にまとめて行うことができるため、スタッフの稼働率やシフト管理などの予測が立てやすくなります。人件費など、無駄な管理コスト発生防止に繋がります。
また、都度払いメニューでは会計業務が都度発生しますが、コース契約や回数券利用の場合は会計業務が不要になるためオペレーションの効率化にも繋がります。
高額コース・回数券を導入するデメリットとリスク
高額コースや回数券の導入はメリットが大きい反面、小規模サロンにとってはデメリットやリスクも孕んでいます。事前に把握し対策を立てましょう。
顧客側の心理的・経済的負担
お客様にとって、数万円〜数十万円の支払いは非常に大きな決断のため、心理的・経済的負担が発生してしまいがちです。
成約ハードルの上昇
「一度試してみたい」だけのお客様にとって、コースの勧誘は「押し売り」と感じられるリスクがあります。初回体験の満足度が高くても、最後に強引なクロージングを行うことで二度と来店してもらえなくなるばかりか、ネガティブな口コミが発生し評判が下がってしまうリスクがあります。
まとまった出費の負担
一度に大きな金額を支払うため、お客様に家計への圧迫を感じさせます。「支払った分だけの価値があるのか」とサービス内容への目が厳しくなり、期待値のハードルが極端に上がることがあります。
通い続ける義務感
最初にまとまった金額を支払ったことで「行かなければならない」というプレッシャーが、かえってお客様のストレスになり、足が遠のいてしまう原因になることがあります。
経営・業務上の課題
実際の業務や経営状態に影響する可能性もあります。項目ごとに解説します。
1. 「前受金」によるキャッシュフローの錯覚
- リスク 例えば一括で10万円を入金されると通帳の残高が一気に増えますが、これは「未来の労働に対する負債」として認識する必要があります。
- 課題 入ったお金をすぐ使い込んでしまうと、数ヶ月後に「予約は埋まっているのに、現金が1円も入ってこない(経費だけが出ていく)」という地獄のキャッシュフローに陥ります。
2. 特定商取引法と「中途解約」のリスク
- リスク 5万円を超え、期間が1ヶ月を超えるエステ契約は法律で「クーリング・オフ」と「中途解約」が認められています。
- 課題 「引っ越すから」「効果が感じられないから」という理由で解約を求められた際、未消化分を返金する義務があります。
3. キャッシュレス決済の利用停止リスク
- リスク 多くの決済会社は、発生し得るリスクを避けるために高額役務を禁止しています。
- 課題 決済会社に申告せずに高額役務を決済し規約違反とみなされると、売上金が長期間(数ヶ月単位)凍結される、アカウントが強制解約されることがあります。小規模サロンにとって、売上が入ってこない状況は死活問題です。
4. サービス品質の維持
- リスク 代金を先にもらってしまうことで、スタッフ(またはオーナー自身)の緊張感が緩んでしまうことがあります。
- 課題 初回は丁寧だったのに、5回目くらいには接客が雑になる…といったことが起きると、追加の契約(継続)に繋がらず、ネガティブな口コミが発生する可能性もあります。
リスクを最小限にするための対策
上記のようなリスクを最小限にするために、以下の対策を行いましょう。
前受金は別口座で管理する
前受け金(高額コース・回数券の代金)は、経費の口座とは別にすることをおすすめします。工数は発生しますが、1回施術が終わるごとにその分を移動させるなど資金管理を徹底するとより安心です。
契約書面を完璧にする
「解約時の返金ルール」を明記した書面を作成し、契約時にお渡しして署名をもらいましょう。これがチャージバック対策にもなります。
適切な決済サービスを選ぶ
「役務決済が可能」と明言している決済会社を利用しましょう。
高額コース・回数券に利用できるサロン向け決済端末はこちら高額コース・回数券を導入するための準備
高額コースや回数券の導入はサロンのステージを一段上げる大きな一歩ですが、準備不足のままスタートすると、法的なトラブルやお客様との信頼関係の悪化を招くリスクがあります。事前準備についてまとめましたので、是非参考にしてください。
導入前の必須準備
まずは法律とルールを遵守するための土台作りを行いましょう。特に「特定商取引法」への対応は、サロンを守るために不可欠です。
契約書・概要書面の作成
5万円を超え、かつ1ヶ月を超える期間のサービス(特定継続的役務提供)を提供する場合、法律で「概要書面(事前説明用)」と「契約書」の交付が義務付けられています。クーリング・オフの規定、中途解約時の返金ルール、有効期限について記載したフォーマットを準備しましょう。
「役務対応」の決済システムの契約
高額コースや回数券の販売には決済システムの導入は不可欠です。役務決済に対応している決済会社や、エステサロンの導入実績が多い決済会社のサービスに問い合わせを行い、早めに審査を通しておくと安心です。
返金用資金の管理ルールを決める
前受け金(高額コース・回数券の代金)は返金の可能性もあるため、施術が終わるまでは「売上」ではなく「預かり金」として考えます。全額使い込まず、万が一の中途解約に備えて一定額を常にプールしておく口座管理の仕組みを作りましょう。
契約のハードルを下げる工夫
事前準備が完了したら、運用面とお客様に安心感を与えるための仕組みを整えましょう。
「松竹梅」など3段階でメニューを設定する
例えば20万円のコースメニューのみにしてしまうと、お客様によってはハードルが高く感じ契約に結び付かない場合があります。金額ごとに3パターンほど用意しておくと、前向きに検討してもらいやすくなります。
<例>通常1回15,000円のフェイシャルまたは痩身メニューの場合
| コース名 | 内容(回数) | 販売価格(税込) | 1回あたりの単価 | 特典・メリット |
|---|---|---|---|---|
| 【梅】お試し | 3回 | 39,000円 | 13,000円 | 「まずは3回」という心理的ハードルの低さ |
| 【竹】標準 | 10回 | 110,000円 | 11,000円 | お得感を強調、しっかり結果が出る回数 |
| 【松】完璧 | 20回 | 200,000円 | 10,000円 | 本気の方用。豪華ホームケアセット(3万円相当)付 |
保証や特典を追加する
「万が一お肌に合わなかった場合の返金保証」や、「コース契約者限定のホームケア化粧品プレゼント」など、安心感やお得感をプラスする情報を添え、お客様がコース契約に踏み切れるように後押しを行います。
分割払いの選択肢を提示する
クレジットカードの「あとから分割」のご案内をしたり、決済システム側で用意されている分割機能を活用したりすることで、月々の負担感を軽減できることを伝えましょう。
特定継続的役務に対応したサロン向け決済サービス
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まとめ
小規模サロンが高額コース・回数券をメニューに加えるメリットやデメリット、デメリットに対しての対策などについて解説しました。 リソースやスペース、資金面で制約が多い小規模サロンにとって、ひとりのお客様と関係性を構築し高単価なコースや回数券を購入していただくことは非常に重要な戦略です。本記事をメニュー設計にお役立ていただけましたら幸いです。

