飲食店のターゲティング設定方法は?ペルソナ設定の手順や活用方法を解説

飲食店のターゲティング設定方法は?ペルソナ設定の手順や活用方法を解説

飲食店の集客を行うためには、ターゲット設定が重要です。ターゲット層のニーズを調査し、それに応える商材やサービスを提供することが基本的なマーケティング戦略です。今回は、ターゲット設定について、ペルソナ設定とその活用方法について紹介します。飲食店経営者の方は是非参考にしてみてください。

  • 飲食店のターゲット設定の流れ
  • ペルソナの設定方法
  • ペルソナの具体的な活用方法

飲食店の集客にはターゲット設定が重要

飲食店の集客においてターゲット設定がなぜ重要なのか、その理由について詳しく解説します。

集客力アップに繋がる

「誰に何を伝えたいのか」を明確にすることで有効な集客施策を効率的に実施することができるため、無駄な販促費用や労力を削減することができます。設定したターゲットに響くコピーやデザイン、プロモーション方法を選択することで、集客力アップが期待できます。

客単価アップに繋がる

ターゲット設定を行うことでターゲットのニーズが明確となり、顧客が何を求めているかが分かるようになります。例えばターゲットのニーズに合った高単価メニューを開発する、ワンランク上の酒類を取り揃えることで客単価アップが期待できます。また、ターゲットに刺さる誕生日や記念日の演出の提案、その他接客方法を工夫することで顧客満足度が高まり、客単価をアップさせる効果が期待できます。

メニュー開発を効率化できる

ターゲット像が明確になると、そのターゲットの好みに合わせたメニュー開発が可能になります。例えば「オーガニック志向の女性」をターゲットにする場合、有機野菜や国産の食材のみで作られたメニュー、有機栽培された果実酒など、ニーズに合致したメニューを提供することで、集客や売上アップの効果を期待できます。「ターゲット設定を行うことで無駄打ちを減らし効率的なメニュー開発が可能です。

メニュー開発を効率化できる

店舗の外装や内装を考える上でも、ターゲット設定は重要です。例えば「大人向けの落ち着いた雰囲気を好む40代以上の男性」をターゲットとした場合、黒を基調とした落ち着いた内装にする、ジャズミュージックを流すなどの演出をすることで、ターゲットに来店してもらいやすくなります。また、店頭をその雰囲気を伝えるためのデザインにすることで、ターゲットが立ち寄りやすくなる効果が期待できます。

ターゲット設定にはペルソナ作成がおすすめ

飲食店のターゲット設定を行う場合、ペルソナを作成する方法がおすすめです。ここではペルソナについて詳しく解説します。

ペルソナとは?

ペルソナは、ラテン語で「人格」「人体像」「仮面」を表す意味です。心理学者のカール・グスタフ・ユングが「人間の外的側面」の意味でペルソナという単語を定義しています。

マーケティングにおけるペルソナは、自社の商品やサービスの顧客像を具体的に作り出した架空のモデルのことです。年齢、性別、職業、趣味、価値観、ライフスタイルなど、一人ひとりの人物像を詳細に設定することで、より効果的なマーケティング戦略を立てることができます。

ターゲットとペルソナの違い

ターゲットとペルソナの違いについて、表にまとめましたので参考にしてみてください。

項目 ターゲット ペルソナ
定義 商品やサービスの対象となる顧客層の総称。 商品やサービスの理想的な顧客を、まるで実在の人物のように具体的に作り出したもの。
特徴 性別、年齢、職業、地域など、集団としての属性で定義される。 具体的なひとりを想定し、名前、年齢、職業、趣味、価値観など、詳細な情報を設定する。
目的 マーケティング活動の対象を明確にする。 商品やサービスの開発、マーケティング戦略の立案に役立てる。
視点 集団の視点 個人の視点
「20代~30代の女性、健康志向が高い層」 「30代の女性会社員、健康志向で、ヨガが趣味の山田花子」

ペルソナ設定が店舗経営に必要な理由

ここでは、ペルソナ設定が飲食店や店舗の経営に必要な理由を詳しく解説していきます。

顧客のニーズを深く理解することができる

顧客を具体的な人物像として捉えることで、より深く顧客のニーズや価値観を理解することができます。ペルソナは生活習慣や考え方など顧客のパーソナルな部分まで深掘りして設定するため、表面化していない潜在的なニーズをイメージすることが可能です。

集客・販促・商品開発などを考える際の軸になる

ペルソナを設定することでターゲットニーズを具体的に描き出すことができるため、マーケティング戦略全般の方向性を定めやすくなります。例えば設定したペルソナがSNSを多用している場合、集客にはSNSを活用した施策をメインに展開することが検討でき、ヘルシー思考のペルソナであればそれを反映したメニューを展開するなど、それぞれの施策を考える際の軸としてペルソナを活用できます。

スタッフと共通認識を持つことができる

設定したペルソナは、共通認識として組織内で共有することが可能です。経営層とスタッフがターゲットのイメージを統一して持っていることで、顧客への応対や接客サービスに一貫性が生まれ顧客満足度向上にも繋がります。また、経営層とスタッフ間、スタッフ間同士で認識のズレも発生しにくくなるため、店舗運営の効率化にも繋がります。

ペルソナ設定の手順

まここからは、ペルソナ設定の手順を具体的に解説します。

①情報を集める

まずは、ペルソナ設定する人物像を作るために必要な情報を集めます。具体的な方法は主に以下の通りです。

  • 既存顧客にアンケートをとる
  • 注文履歴を分析し、共通点や相違点を見つける
  • 競合店の客層、業界トレンド、地域特性などを調査する
  • SNS上での調査を行う
  • スタッフから客層についての意見を聞く
  • 公開されている統計データを参考にする

生の声やオリジナルデータで分析を行うことで、リアリティのあるペルソナを設計することができます。

②情報をグルーピングする

収集した情報は活用しやすいように、グルーピングや取捨選択を行い必要な情報を絞っていきます。例えば「40代男性の顧客が共通して持っている要素は何か?」「店舗選びの基準が同じ人達のその他の共通点はあるか」など、共通点や関連性の観点から情報を整理していきます。

③簡易的なペルソナ作る

整理された情報を用いて、ペルソナを作成します。ペルソナは無理にひとつに絞る必要はないですが、一つひとつのペルソナは「その人の顔が見える」くらいにまで具体化して落とし込む必要があります。

人物像をより具体化するためには、以下の方法で考えると効率的です。

④背景ストーリーを作る

ペルソナの背景ストーリーを作ることで、より立体的な人物像を作ることができます。

⑤行動を想像する

ペルソナがどのように商品やサービスを利用するか、どのような言葉を使うかなどを想像してみましょう。

⑥名前をつける

よりリアルな人物像として捉えやすくなります。また、、名前がついているとスタッフ間でペルソナを共有する際に認識違いがなくなり効率的です。

⑦ペルソナシートに記入する

簡易的なペルソナを作り、具体的な人物をイメージできたらペルソナシートに落とし込みます。ペルソナの項目は業種業態ごとや活かし方によって異なります。

ペルソナ設定の活用方法

ここでは、ペルソナ設定の活用方法について解説します。「中野坂上近辺にある会社員をターゲットにしたオープンカフェ」が作成したペルソナ設定をサンプルとし、ペルソナをどのように活用するのか、具体例をもとに解説します。

ペルソナ_sample

メニュー開発に活用する

コーヒー&軽食のモーニングセット

出勤前にコーヒーを購入する、共働きの妻がいて平日の朝は時間がない、というペルソナに対し、サンドイッチやパニーニなどをコーヒーとセットにして販売する。コーヒーと朝ご飯を一緒に購入できるシチュエーションを提供する。

休日限定のキッズプレート

子どもとの公園帰りにランチしに来てもらえるように、休日だけキッズプレートを提供する。子どもが好きそうなハンバーグやオムライスをメインとしつつ、栄養バランスが整ったメニューを用意する。平日だけではなく休日にも利用してもらえるようなメニュー展開にする。

酒類の提供

家族が寝た後の晩酌をお店でしてもらえるよう、酒類とナッツなどの乾きものを提供する。ビール好きのペルソナに対し、クラフトビールを数種類用意してニーズに応える。

販促施策に活用する

コーヒーチケット・サブスクサービスの販売

コーヒーをお得に飲めるチケットやサブスクサービスを販売する。毎朝コーヒーを飲むが、特に食へのこだわりはない、というペルソナに選んでもらうために、よりお得にコーヒーが購入できるサービスを提供する。

販促施策に活用する

誕生日や記念日の演出プラン

妻との記念日や子どもの誕生日には力を入れる、という点から、乾杯ドリンクや記念日プレート、写真撮影サービスなどを演出プランにして提供する。その他、サプライズ演出のリクエストにも対応することで特別な日にも利用してもらう機会を用意する。

家族でゆっくり利用できるソファ席を作る

家族でも利用してもらえるよう、一席だけでも良いのでソファ席や半個室のような空間を作る。子ども椅子なども準備し、家族でゆっくりできる空間を提供する。

集客メディアの選択に活用する

Facebookアカウントを作成して投稿する

Facebookをメインに活用しているペルソナに向け、アカウントを作成しメニュー紹介やお知らせ、店内の様子などを紹介し「家の近くにあっていろいろな場面で活用できそう」ということを認知してもらう。

ペルソナ設定の注意点

ここでは、ペルソナ設定をする際に気を付けるポイントについて解説します。

都合の良い顧客像を設定しないようにする

ペルソナ設定において最も陥りやすい失敗は、ペルソナと理想像を混在してしまうことです。ペルソナは理想の顧客像ではなく、現実に存在する可能性が高い顧客の代表を設定します。

すでに自店舗や自店舗のサービスが好きな人ではなく、店舗が提供できる価値で課題解決ができるか、どのようなニーズに応えることができるか、という観点でペルソナを描くようにしましょう。

ペルソナはひとつじゃなくてOK

ペルソナは無理やりひとつに絞る必要はありません。多くの場合、ひとつのサービスに対して複数のペルソナが存在します。主要なターゲットを3~5人程度のペルソナに分割し、それぞれを深堀りして人物像を具体化しましょう。ペルソナを複数設定することよって、より多角的な視点でマーケティング戦略を立てることが可能です。

作ったペルソナは定期的に見直すK

ペルソナは作って終わりではなく、定期的に見直してアップデートする必要があります。新しい調査データや顧客の声を参考にして、ペルソナを見直すようにしましょう。また、その時代のトレンドや出店エリアの状況変化なども考慮し、柔軟に対応していくことが重要です。

さいごに

飲食店のターゲット設定、ペルソナ設定の方法や注意点についてご紹介しました。ペルソナを設定することで、店舗のターゲット像が具体化し様々な施策に活かすことができるようになります。是非この記事を参考にして、ペルソナを設定し集客に活かしてみてください。


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