【初心者向け】キッチンカーの初期費用と開業方法を解説!

【初心者向け】キッチンカーの初期費用と開業方法を解説!

2020年のコロナ禍以降のテイクアウト需要や屋外で食事を楽しむ人の増加、近年の外国人観光客の増加や高齢化社会の影響もあり、キッチンカー事業への新規参入が増加傾向にあるそうです。本記事では、キッチンカーの開業費用についてや成功させるためのポイントについて解説します。

キッチンカーを開業する魅力

キッチンカーを開業する魅力について解説します。

低コストで開業が可能

キッチンカーは実店舗を持つ飲食店と比較し、開業費用を安価に抑えることができます。物件取得費や内装費などがかからないため、比較的少ない資金で始めることができます。

働き方の自由度が高い

キッチンカーは営業日や時間が変動的なので、自分のライフスタイルに合わせて働き方を調整することができます。また、店舗ごと移動できるので様々な場所で営業することも可能です。週末のみの営業やイベントに合わせた出店など、自由な働き方が可能です。

独立・開業がしやすい

キッチンカーは実店舗を持つ飲食店と比較し、資金面や運用面において独立や開業がしやすいビジネスと言えます。個人事業主として自身の力で事業を立ち上げ、成功を目指すことができます。

キッチンカーを開業するために必要なこと

キッチンカーを開業するために必要なことについて解説します。

事業計画書の作成

まずは事業計画書を作成しましょう。事業計画書は、事業を始めるにあたりその内容や計画をまとめた書類です。事業進捗やリスクを事前に把握する際に役立つほか、資金調達の際に必要となるので必ず最初に作成しておきましょう。キッチンカーの場合は、コンセプトやターゲット層、出店場所、取扱いメニュー、売上げの見通しなどを記載します。

資金調達

キッチンカーの購入費やキッチンカーに搭載する設備の費用、材料や資材の購入費など、開業時はまとまったお金が必要となります。自己資金のほか、銀行からの融資や国からの助成金などを調べ、必要に応じて申請しましょう。

店舗経営者が利用できる助成金・補助金については下記をご確認ください。

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許可申請

キッチンカーを営業するにあたり、以下の許可申請が必要です。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、食品の製造・販売を行うにあたり食品の衛生管理や安全を確保する責任者のことです。食品を扱う事業を行うにはこの食品衛生責任者の設置が義務付けられており、キッチンカーを個人事業主として営業していく場合は自らがその資格を取得する必要があります。各自治体で開催されている講習会を受講することで取得することができます。

営業許可

キッチンカーの営業には、営業場所を管轄する保健所の営業許可が必要です。移動販売の営業許可には、調理した食品を提供する「飲食店営業許可」と包装済みの食品を販売する「食品販売許可」の2種類があり、一般的にキッチンカーの場合は前者の営業許可が必要となります。

キッチンカーの場合、市区町村や都道府県を超えて営業することも多いかと思いますが、その場合は営業する全ての地域で営業許可を取得する必要があります。もし営業許可未取得での営業が発覚した場合、食品衛生法違反として2年以下の懲役、または200万円以下の罰金が科せられる可能性があります。各保健所に申請し、取得漏れがないようにしましょう。

キッチンカーの準備

使用するキッチンカーの準備を進めましょう。購入かリース・レンタルか、新車か中古車かなど予算や今後の運用を考慮して選びましょう。キッチンカー内で調理を行う場合は調理設備や調理器具を揃えます。また、内装や外装、看板などをメニュー内容やコンセプトに合わせてデザインしていきます。

出店場所の確保

キッチンカーのターゲット層に合わせた出店場所を選定します。イベント会場やオフィス街、住宅地にあるスーパーマーケット前などが出店場所としては一般的です。基本的に出店には許可が必要となるので、事前にしっかり確認するようにしましょう。

キッチンカー開業に必要な費用

キッチンカー開業に必要な費用は、大きく分けて車両購入費、内装・設備費、諸経費、運転資金の4つに分けられます。それぞれの費用項目と目安金額、費用を抑えるコツについて解説します。

車両購入費

キッチンカーとして利用する新車、または中古車を購入します。中古車の場合、年式や走行距離、状態によって価格が大きく異なります。相場は以下の通りです。

  • 新車:200万円~500万円程度
  • 中古車:50万円~200万円程度

キッチンカーに人気の車種と費用相場

車種 費用相場
(万円)
特徴 おすすめの業種
軽バン 150~300 ・小回りが利き、狭い場所でも出店しやすい
・車体価格が安価、維持費が低い
・調理スペースが狭い、大人数での作業には不向き
クレープ、コーヒー、軽食
軽トラック 100~250 ・荷台にキッチンを設置できるため、自由度が高い
・車体価格が安価、荷台の広さを活かせる
・軽バンに比べて運転に注意が必要
焼き鳥、たこ焼き、お弁当
普通車バン 250~500 ・車内が広く、調理スペースを確保しやすい
・調理スペースが広い、複数人での作業が可能
・車体価格が高い、維持費が高い
ハンバーガー、パスタ、カレー
1tトラック 350~600 ・最も車内が広く、本格的な調理設備を搭載できる
・調理スペースが非常に広い、本格的な料理を提供できる
・車体価格が非常に高い、維持費が非常に高い
レストラン並みの料理、イベント出店

車種

キッチンカーの車両カスタム費用は、以下の要素によって大きく変動します。

軽バン、軽トラックなど、車種によってできるカスタムが変わってくるため、どの車種を選ぶかによってカスタム費用は変動します。一般的には車体が大きくなるほどカスタムできる要素が増えるため、費用が高くなる傾向にあります。

カスタム内容

調理台や冷蔵庫、調理器具や調理設備などの内装設備をどこまで揃えるか、看板や車への装飾、テントの設置などの外装をどこまでカスタムするかによって、発生する費用は変わります。これらは提供するメニューによって変わってくる部分なので、メニューを考案する際にどの程度のカスタムが必要なのか考えましょう。

厨房設備費

厨房設備とは、調理台、シンク、冷蔵庫、換気扇、調理器具など、調理の際に必要となる設備のことです。厨房設備費は、提供メニューや車種、新品にするか中古で揃えるかなどによって変動します。

例えばクレープ店であれば、クレープ焼き器や冷蔵冷凍庫、ミキサーなどが必要になりますし、ハンバーガー店であれば鉄板やフライヤーなどが必要になります。それらを新品で揃えるのか、中古やレンタルで揃えるのか、複数セット用意するのかなどで必要な費用が変わってきます。

車種ごとの費用相場は以下の通りですが、前述の通り様々な要素によって変動するのであくまで目安として参考にしてください。

  • 軽バン: 30万円〜100万円程度
  • 軽トラック: 20万円〜80万円程度
  • 普通車: 50万円〜200万円程度

その他費用

上記以外にも、キッチンカーを運営する上で発生する費用があります。

保険料

キッチンカーは車両として登録されるため、自動車保険への加入が必須です。法律で加入が義務付けられている自賠責保険のほか、対人・対物賠償など、自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償するための任意保険も存在します。

営業許可取得費用

キッチンカーの営業には営業許可が必要ですが、それを取得するにも費用が発生します。費用は都道府県や市区町村によって異なりますが、一般的には1~2万円程度が目安となります。また、食品衛生責任者になるためにも数千円程度の受講料が発生します。

初期食材・資材費

準備期間から開業してすぐの売り上げが発生しない間、食材費や資材費、燃料費や人件費などを初期資金として準備しておく必要があります。提供メニューやキッチンカーの規模等によって必要な資金は変わってきますが、目安として100万円前後は手元にあると安心です。

開業費用を抑える方法

キッチンカー

キッチンカーの開業費用を抑える方法は、いくつかのポイントを押さえることで実現可能です。ここでは、具体的な方法をいくつかご紹介します。

中古車両を購入する

新車に比べて中古車は車両購入費を大幅に抑えることができます。ただし、あまりに年式が古い車などは多額のメンテナンス費用が発生してしまうことがあります。車両の状態をよく確認し、メンテナンス費用も考慮に入れましょう。

キッチンカーをリース・レンタルする

キッチンカーを購入せず、リースやレンタルにすることで初期費用を抑えることができます。リースとレンタルはどちらも対象物を一定期間使用できるサービスですが、一般的にリースは数年単位の長期間契約で、レンタルは短期的な利用を目的とする、という違いがあります。

例えば軽トラタイプのキッチンカーは、新車で購入し改造すると200~300万程度掛かりますが、リース会社を利用すれば改造された状態の車両を月額8~10万円程度でリースすることができます。初期費用に不安がある方、あらかじめ営業期間を決めている方にはリースやレンタルがおすすめです。

自力で改造する

簡単な調理設備の設置や内装など、自分で行うことで費用を抑えることができます。最近ではYouTubeなどにも車両のカスタマイズ方法の解説動画がアップされているので、それを参考にしてみても良いかもしれません。ただし、専門的に知識や技術が必要な場合は専門業者に相談するようにしましょう。

中古の厨房機材・設備を使用する

中古の厨房機材を利用することで費用を抑えることが可能です。厨房機材を扱っている専門業者はもちろん、個人がメルカリやYahoo!オークションに出品していることもあるので、細かくチェックしてみましょう。

助成金・補助金を活用する

キッチンカーの開業に助成金や補助金を利用できる可能性があります。下記に一例を記載しますので、参考にしてみてください。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

新規事業の立ち上げや生産性向上を目的とした補助金です。キッチンカーの購入・改造費用や設備導入費用などが対象となる場合があります。

創業助成金

創業初期の費用を支援する助成金です。キッチンカーの購入費用や運転資金などが対象となる場合があります。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者の販路拡大や事業継続を支援する補助金です。キッチンカーのプロモーション費用や設備導入費用などが対象となる場合があります。

地方自治体の補助金・助成金

各地方自治体でもキッチンカー等の新規事業開業を支援する補助金や助成金制度が設けられている場合があります。出店地域の自治体の窓口などに問い合わせてみてください。

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メニュー開発のヒント

ホットドック

キッチンカーのメニュー開発は、成功の鍵を握る重要な要素です。ここでは、魅力的なメニューを開発するためのヒントをいくつかご紹介します。

ターゲット層の設定

どのような人に来店してほしいのか、ターゲット層を明確にしましょう。年齢層、性別、ライフスタイルなどを考慮し、ターゲット層に響くメニューを考えます。ターゲットの設定にはペルソナシートの活用が便利です。以下から無料ダウンロードできますので、是非ご活用ください。

ペルソナシートテンプレートを無料ダウンロードする

強みを活かしたメニュー

他のキッチンカーや出店地域近隣店舗のメニューを分析し、自店の強みを活かせるメニューを考案しましょう。例えば地元の契約農家から仕入れた野菜を使用したメニューや、独自に調合したスパイスを使用したメニューなどが考えられます。また、ワンランク上の厨房設備を利用し、キッチンカーで提供しているとは思えないクオリティの料理を提供するなど、強みを活かしつつターゲットに刺さるメニューを考案しましょう。

トレンドを取り入れたメニュー

有機野菜、オーガニック、グルテンフリー、ハイブリット食感など、その時代ごとの食のトレンドをメニューに取り入れることも集客する上では大事なポイントです。また、SNSで拡散されやすいように見た目にインパクトを付けることも選択肢のひとつです。

成功するためのポイント

キッチンカーを成功させるためのポイントは、以下の点が挙げられます。

出店イベントの選定

人が多く集まる場所やイベントに積極的に出店することも大事ですが、設定したターゲット層も意識しましょう。例えば平日の会社員ランチ向けメインのコンセプトでメニューを作っていた場合、そのままのメニューで大規模イベントに出展すると、他のキッチンカーと比較され思うように売上げが上がらない、という事態にもなり得ます。効率的に売り上げを上げるためにも、出店イベントは慎重に選びましょう。

SNS活用

集客にはSNSを積極的に活用しましょう。出店情報やメニュー情報などを発信しフォロワーを増やすことで、来店数増加に繋がります。また、キッチンカーでもSNSアカウント情報を案内したり、フォローキャンペーンなどを地道に行うことで、集客アップに繋がるはずです。

コミュニティ形成

土日祝日に開催される大きなイベントなどの場合は複数のキッチンカーが出店するため、キッチンカー同士での交流が生まれやすいと言えます。積極的にコミュニケーションをとることで有益な情報が得られたり、困った際に助けてもらいやすくなるので、キッチンカー同士のコミュニティ形成は重要です。

決済環境の整備

キャッシュレス化が進む社会の中で、キッチンカーも例外ではありません。ユーザーニーズに合わせたキャッシュレス決済サービスを利用できるようにしておくことが、集客に直結する可能性があります。特に外国人観光客が多いイベントなどでは特にキャッシュレス決済の需要が高く、各国の決済需要に対応することも重要です。

キッチンカーの決済サービス導入・運用事例については下記をご確認ください。

キッチンカーの決済サービス導入・運用事例を見る

さいごに

キッチンカーの開業方法や費用相場、成功するためのポイントについて解説しました。キッチンカーは低コストで開業ができる、営業場所を選べる、などのメリットがある一方で、参入障壁が低い分競争が激しかったり、集客が天候にかなり左右されてしまう、というデメリットもあります。

情報収集をしっかり行い、自分自身の状況に合わせたキッチンカー事業を検討してみてください。


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