エステサロンにおけるコンセプトは、サロンが強みや独自性を打ち出しお客様に提供する価値を明確化するための重要なものです。本記事では、エステサロンのコンセプトを設計するためのポイントや例を紹介します。自店舗の運営に是非ご活用ください。
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エステサロンにコンセプト設定が重要な理由
エステサロンのコンセプト設定が重要な理由は複数ありますが、主に以下の点が挙げられます。
ブレないサロン経営ができる
コンセプトは、提供するサービス内容や使用する化粧品、機器、さらにはスタッフの接客スタイル、内装、BGMに至るまで、サロンの全てを決定する指針となります。一貫したコンセプトに基づくことでブレないサロン経営が可能となり、顧客は安心感や期待通りのサービスを得ることができ、満足度が高まります。
差別化と競争優位性の確立
エステサロンは店舗数が多く、競争が激しい業界です。サロン自体のコンセプトが曖昧であると、他のサロンとの違いが顧客に伝わりにくく埋もれてしまう可能性があります。独自のコンセプトを持つことで「あのサロンは〇〇に特化している」「あのサロンでしか得られない体験がある」などの明確な差別化ができ、顧客に選ばれる理由を作ることができます。
効果的なマーケティングと集客
コンセプトを明確にすることで「誰にどんな価値を提供するのか」をはっきりさせることができます。これにより、多くの人に漠然とアプローチするのではなく、サロンの提供する価値を必要としているターゲット層に絞ってプロモーションを行うことが可能になり、集客の効率が大幅に向上します。
例えば、「肌荒れに悩む20代女性向け」と「エイジングケアを求める50代向け」では、発信する情報も広告戦略も全く異なります。コンセプトを設定してターゲット層を絞ることで、効率的に集客を行うことができるようになります。
コンセプト設計に使えるフレームワークを無料ダウンロードするエステサロンがコンセプト設計をする際のポイント
エステサロンがコンセプト設計をする際、以下のポイントを押さえることで、より具体的で魅力的なコンセプトを作り上げることができます。参考にしてみてください。
ターゲット顧客を明確にする
「誰のためのサロンなのか」を具体的に定義することが先決です。以下の要素から考えていくと、ターゲット顧客が明確化していきます。
- 年齢層:20代、30代、40代以上など
- 性別:女性向け、男性向け、ユニセックスなど
- ライフスタイル:働く女性、子育て中のママ、ビジネスパーソンなど
- 悩みやニーズ:肌荒れ、エイジングケア、リラクゼーション、脱毛、ボディメイクなど、顧客が抱える具体的な問題や求めている効果
- 価値観: 結果重視、癒し重視、価格重視、プライベート重視など
「仕事で忙しい30代後半の女性向け、短時間で効果を実感できる肌改善サロン」のように、細かく設定することで、その後のサービスやプロモーションの方向性が定まります。
ターゲット像の明確化には、ペルソナ設定からアプローチしていくことも有効です。ペルソナの設定方法は下記記事に解説しています。ペルソナシートの無料ダウンロードもできますので、是非活用してください。
提供する価値を明確にする
単に施術を提供するだけではなく「お客様にどのような変化や感情をもたらすのか」など、与える価値を明確にしましょう。
肌質の改善、痩身、脱毛などの物理的な変化だけではなく、「鏡を見てポジティブな気分になれる、自分に自信が持てるようになる」など、お客様が得ることができる価値をしっかり言語化することが重要です。
競合分析を行う
競合サロンが、どのようなコンセプトでどのようなサービスを提供しているかリサーチしましょう。その上で、自サロンがどう差別化を図るのかを検討します。
競合サロンの強みと弱みを把握し、それに対して自サロンが提供できる独自の価値を見つけましょう。明確な差別化を行うことで、価格競争に巻き込まれるリスクが減少します。
決定したコンセプトを簡潔に表現する
設定したコンセプトを、お客様がサロンの魅力を理解できるようなキャッチフレーズに落とし込むことをおすすめします。お客様だけではなく、サロン内のスタッフの認識を統一させるためにもキャッチコピーを設定することは有効です。サロンのWebサイトやSNS、広告、パンフレットなどの制作物に活用することで、ブランディング効果も期待できます。
- キャッチコピー例
- 大人のための、隠れ家美肌サロン
- 結果にコミット!本気の痩身専門エステ
- 最高の花嫁姿を叶えるブライダルエステ
- 素肌を変えて、気分も変える
魅力的なエステサロンのコンセプト例
具体的なコンセプト例を複数提示し、それぞれのターゲット層、提供価値、特徴などを解説します。
ターゲット特化型コンセプト
ターゲット特化型コンセプトとは、特定のターゲット層に焦点を当て、そのターゲットのニーズや課題に特化したサービスや価値を提供するというコンセプトのことです。
- 【例1】働く女性の時短美容専門サロン
- ターゲット:忙しい20代後半~40代の働く女性
- 提供価値:短時間で効果を実感できる施術、リラックスできる空間
- 特徴:駅近、夜遅くまで営業、オンライン予約の充実
- 【例2】エイジングケア専門の大人向けサロン
- ターゲット:40代以上の美意識の高い女性
- 提供価値:専門的な知識と技術に基づいたエイジングケア、落ち着いた上質な空間
- 特徴:高品質な商材の使用、プライベート空間、丁寧なカウンセリング
- 【例3】ブライダルエステ専門サロン
- ターゲット:結婚を控えた女性
- 提供価値:最高の状態で当日を迎えるためのトータルサポート、特別なプラン
- 特徴:挙式までの期間に合わせたプランニング、パートナーとの施術、写真撮影サービス
- 【例4】メンズ専門エステサロン
- ターゲット:美容に関心のある男性
- 提供価値:男性特有の肌悩みに特化した施術、入りやすい雰囲気
- 特徴:清潔感のある空間、ひげ脱毛、フェイシャルケア
提供価値特化型コンセプト
提供価値特化型コンセプトとは、サロンが顧客に提供する「具体的な価値」や「得られる恩恵(ベネフィット)」を最前面に打ち出したコンセプトのことです。
- 【例5】メンズ専門エステサロン
- ターゲット:肌に優しいものを選びたい層、環境意識の高い層
- 提供価値:オーガニック認証を受けた商材の使用、自然由来の施術
- 特徴:アロマの香る空間、リラックス効果の高い施術
- 【例6】結果重視の痩身・ボディケア専門サロン
- ターゲット:本気で体を変えたい層
- 提供価値:最新機器や技術を用いた効果的な痩身・ボディケア
- 特徴:Before/Afterの写真公開、食事指導、運動指導との連携
- 【例7】リラクゼーション&マッサージに特化した癒し空間
- ターゲット:日々の疲れを癒したい層
- 提供価値:多様なマッサージメニュー、リラックスできる空間と香り
- 特徴:完全個室、アロマテラピー、ヒーリングミュージック
独自性・体験型コンセプト
独自性・体験型コンセプトとは、他にはないユニークな特徴(独自性)と、お客様が施術や空間を通じて特別な感情や感覚を得られるような「体験」を重視して設計されたコンセプトのことです。
- 【例8】パーソナルカスタマイズエステサロン
- ターゲット:自分だけのオーダーメイド施術を受けたい層
- 提供価値:丁寧なカウンセリングに基づいた完全オーダーメイドの施術
- 特徴:肌質診断、体質診断、その日の状態に合わせた施術
- 【例9】五感を満たす体験型エステサロン
- ターゲット:非日常的な特別な体験を求める層
- 提供価値:施術だけでなく、香り、音楽、照明、内装など五感全体でリラックスできる空間
- 特徴:ウェルカムドリンク、施術後のハーブティーサービス
コンセプト設定を行う上での注意点
コンセプト設定にはいくつか注意すべき点があります。これらを考慮しないと、せっかくのコンセプトが機能しなかったり逆効果になったりする可能性もあります。ここでは主な注意点を解説します。
価格を1番の価値にしない
「低価格」を一番の価値としてしまうと、同じ戦略で「もっと安い」サロンが現れた際にすぐにお客様を奪われるリスクが高まります。そのサロンに勝つには「さらに安くする」しかないため、価格競争の末利益確保も難しくなります。
また、安さを前面に立たせてしまうとサロン本来の技術力や独自性などの価値を伝えにくくなり、価格のみでサロンの良し悪しを判断されてしまいがちです。その結果、口コミの投稿やリピートもされにくくなってしまいます。
コンセプトに曖昧な言葉を使わない
「癒し」「美しく」など、抽象的な表現はコンセプトに適切とは言えません。コンセプトは「提供する価値は何なのか」「他と何が違うのか」ということがしっかりと伝わるものが理想的です。抽象的な表現を利用することで、お客様の期待と実際のサービスや雰囲気とでギャップが生じ、満足度の低下やリピート率の低下に繋がるリスクがあります。コンセプトは、具体的且つ実際のサービスや体験、提供価値と直結する言葉を選ぶようにしましょう。
市場動向などに合わせて柔軟性を持たせる
コンセプトは、市場や競合の動きに合わせて変化する想定で設定するようにしましょう。美容・エステ業界はトレンドや顧客ニーズの変化が激しい業界であり、一度設定したコンセプトに固執しているとそれらの変化に対応することが難しくなる恐れがあります。
コンセプトで最も重要な軸は維持しつつ、提供する価値や訴求部分をニーズに合わせて変化させていくと、一貫性を保ちながら変化にも対応していくことができます。
例えば「気軽に通える肌質改善サロン」をコンセプトの軸としているサロンは、ターゲット層に自然由来や無添加などのニーズが高ければ、オーガニック由来の製品を使用した施術プランを作る、といったイメージです。
コンセプト設計に使えるフレームワークを無料ダウンロードする【無料DL】コンセプト設定に便利なフレームワーク集

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さいごに
エステサロンのコンセプト設定方法やコンセプト例、注意点について紹介しました。コンセプトは、提供する価値を明確にし一貫したサロン運営をするために非常に重要です。コンセプト設定は調査を含め時間を掛け、サロン運営においてブレない軸を作っていきましょう。