飲食店のリピーター対策10選|効率よく売上を伸ばすには?

飲食店のリピーター対策10選|効率よく売上を伸ばすには?

飲食店の売り上げを伸ばす方法の中で、新規顧客の集客と同様に重要視されるのがリピーター対策です。新規顧客の集客に成功したとしても、リピートしてくれる顧客がいなければ売上アップは望めません。 本記事では、飲食店で活用できるリピーター対策について紹介します。

  • 飲食店でリピーターが必要不可欠な理由
  • リピート率とリピーター率の違い
  • 飲食店のリピーター対策10選
  • リピーター対策の注意点

飲食店でリピーターが必要不可欠な理由

飲食店でリピーターが不可欠な理由は様々あります。以下に主な理由とその説明を記載します。

新規顧客は既存顧客よりも5倍の集客コストが掛かる

フレデリック・F・ライクヘルドという世界的著名な経営コンサルタントが提唱した、「1対5の法則」というものがあります。これは、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかるというマーケティング理論です。つまり、新規顧客と既存顧客に同じメニューを販売したとしても、新規顧客の方が利益率は低くなってしまう、ということを意味しています。

新規顧客の獲得には「新規のお客様限定〇%オフ」や初回限定の方向けのクーポンを発行するなど、来店理由を「安さ」や「お得さ」に頼る側面が大きいですが、既存顧客の場合は、ホスピタリティや工夫次第で集客を行うことが可能です。また、リピーターの来店はある程度予測できるため、売上の安定と利益の確保に繋がります。

既存顧客、つまりリピーターを増加させることにコストや労力を注いだ方が、効率的に利益を得ることができます。

新規顧客を紹介してくれる確率が高い

リピーターは高い確率で新規顧客を紹介してくれます。これは、リピーターがお店に対して強い愛着や信頼感を持っているため、良い体験をしたことを友人や家族に積極的に共有したいという心理が働くためです。リピーターが新規顧客を紹介してくれる理由は主に3つ挙げられます。

お店のファンだから

リピーターは、そのお店の味や雰囲気、サービスやスタッフなどを気に入っており、お店のファンになっています。そのため、「大好きなお店を他の人にも知ってほしい」という心理が働き、家族や友人、同僚などに紹介してくれやすくなります。

信頼感

リピーターは、そのお店に対して高い信頼感を持っているため、自分がそうだったように紹介した人も必ず良い経験をするはずだ、という自信を持っています。

共感

家族や友人も同じ店で楽しんでもらうことで、その体験を共有し共感したい、という思いから紹介を行うケースも少なくありません。

飲食店がリピーター対策を行うメリット

飲食店がリピーター対策を行うメリットは、大きく分けて以下の4つが挙げられます。

売り上げの向上

前述した通り、リピーターは一般的に新規顧客と比較して集客コストが掛かりません。また、リピーターは来店頻度や客単価も新規顧客より高くなる傾向があるため、リピーターが増えることで売上向上が期待できます。

また、リピーターはお店の良い口コミを家族や友人、同僚などに伝えてくれる可能性が高いため、結果として新規顧客の獲得に繋がります。

コスト削減

新規顧客を獲得するための広告費やキャンペーン費用などの削減が可能なほか、リピーターの注文履歴を分析したり意見を聞くことで、無駄なメニュー開発コスト削減し、効率的なメニュー展開を行うことが期待できます。

ブランドイメージ向上

リピーターが多いことは店舗の品質やサービスの高さの証となり、それを口コミの多さや評価の高さなどの数字として提示することができます。それが結果的にブランドイメージの向上に繋がり、競合店との差別化ポイントにもなり得ます。

店舗スタッフのモチベーション向上

リピーターが増えることで、スタッフは自分の仕事が評価されていることを感じ、モチベーションの向上が期待できます。それによりサービス意識も向上し、店舗自体のサービスの質向上へと繋がります。

リピート率とリピーター率

飲食店におけるリピート率とリピーター率は、どちらも顧客の再来店に関する指標ですが、意味合いが少々異なります。

リピート率

新規顧客のうち、再度来店してくれた顧客の割合のことです。新規顧客の満足度や、店舗や商品への愛着度を示す指標となります。リピート率が高いほど、新規顧客がリピーターになる確率が高いことを意味します。

計算方法:(リピートした顧客数 / 新規顧客数) × 100

リピーター率

全体の顧客のうち、リピーターが占める割合のことです。店舗全体におけるリピーターの割合を示し、店舗の安定性や顧客基盤の固さを表します。リピーター率が高いほど、既存顧客のロイヤリティが高いことを意味します。

計算方法:(リピーター数 / 全体の顧客数) × 100

違いを表にまとめると以下の通りです。

指標 対象となる顧客 意味
リピート率 新規顧客 新規顧客の満足度、顧客ロイヤリティ
リピーター率 全体の顧客 店舗の安定性、顧客基盤の固さ

どちらの指標も重要ですが、新規顧客の獲得に力を入れている場合はリピート率、既存顧客の維持に力を入れている場合はリピーター率に着目すると良いでしょう。

リピート率は新規顧客獲得のための施策の効果測定に活用でき、リピーター率は店舗全体の安定性や、顧客ロイヤリティ向上のための施策の効果測定に活用できます。

目指すべきリピーター率

リピーター対策のために指標とすべきなのは、リピーター率であるということが分かりました。数値的な指標としては、7割がリピーターである状態が理想的であるとされています。ただし、店舗の業態や出店地域などによりリピーター率も異なるので、参考程度にしてください。

1日に50名の顧客が来店したとして、そのうちの35人がリピーターである状態になっていれば良い、ということです。これを下回る場合は、対策を行うべきと言えます。

飲食店のリピーター対策10選

1.ポイントカードの活用

多くの店舗で実施しているポイントカードは、リピーターを増やす手法としては効果的です。ポイントを貯めることで特典があるシステムを用意することで、リピートを促す効果が得られます。

2.メニューの充実

メニューを工夫することでリピーター増加を狙うこともできます。定期的に新メニューを開発したり、季節限定メニューを取り入れたり、または数量限定メニューを展開するなどして、飽きさせない仕組み作りが重要です

3.紹介制度の実施

紹介制度も有効な手段のひとつです。割引券やクーポンを紹介者と紹介された顧客双方に提供することでリピート利用を促すことが可能です。紹介者は紹介することでお店への愛着が深まると考えられ、リピート利用や更なる紹介をしてくれやすくなる傾向にあります。LINEアプリを利用するなど、紹介しやすい仕組み作りを行うことが重要です。

4.店舗オペレーションの改善

店舗オペレーションとは、店舗運営に必要な業務の流れや方法を定めることです。例えば、接客、オーダーの取り方、レジ操作、在庫管理などが挙げられます。このオペレーションがスムーズかつ効率的に行われることで、顧客満足度が向上し結果としてリピーターが増える可能性が高まります。

待ち時間の短縮やオーダーミスの減少、スムーズな会計などオペレーションを改善し、顧客満足度向上を目指しましょう。

5.決済環境を整える

顧客からニーズがある支払い方法に対応することも、リピーターを増加させるための手段のひとつです。 当社の調査で、飲食店においてキャッシュレス決済を行う人の割合は85%にのぼり、またお店選びの段階でキャッシュレス決済利用の可否をチェックしている人は65%いる、ということが分かりました。

※飲食店利用者のキャッシュレス実態調査から抜粋

顧客が望む支払い方法に対応することで顧客満足度を向上させ、リピーターを増やすことに繋がります。

6.1on1の接客を心がける

1on1の接客とは、顧客一人ひとりに合った接客を行うことです。平準化きめ細やかなサービスを提供することを意味します。マニュアル通りの接客ではなく、その人、そのシチュエーションに合った接客を心がけることで、顧客は「自分のことを理解し大切にしてくれている」と感じ、満足度が向上しリピート利用に繋がります。

7.サプライズ演出に対応する

飲食店でのサプライズ演出は、顧客に特別な体験を提供し、記憶に残る食事を提供する上で非常に効果的な手段です。誕生日や記念日など、特別な日のサプライズは感動を与えるだけでなく、顧客ロイヤリティの向上にも繋がります。

また、特別な日での食事は単価も高くなりやすいため、直接的な売上の向上も期待できます。飲食店のWebサイトやポータルサイトのプランにサプライズ演出の説明を記載しておくなど、サプライズ演出に対応していることを分かりやすく提示しておくことも重要です。

8.LINE公式アカウント

飲食店のLINE公式アカウントは、単なる情報発信ツールにとどまらず、顧客とのコミュニケーションを深め、リピーター獲得に繋げることができる強力なツールです。

新メニューやキャンペーン情報など、リアルタイムな情報を届けたり、定期的なクーポン配布を行うことでリピート利用を促すことできます。また、1対1でメッセージを送ることも可能なので、顧客からの質問や個別対応を行うことで親近感を演出し、リピーターを増加させる効果を期待できます。

9.MEO対策

MEO対策とは Map Engine Optimization の略称で、Googleマップなどの地図検索で自社の店舗が上位表示されるように対策することです。特に飲食店にとっては、近隣住民や観光客に店舗を見つけやすくし、集客に繋げる上で非常に重要な施策です。

全体の56.1%がGoogleビジネスプロフィールの成果を感じている、という調査結果もあるので、運用していくことで集客効果が期待できます。

トライハッチ調べ 引用:Googleビジネスプロフィール活用に関する調査レポート|株式会社トライハッチ

10.SNS活用

InstagramやX、Facebook、TikTokなどのSNSを利用し、お店の情報を発信したり顧客との交流を図ることもリピーター獲得施策の有効な手段のひとつです。店内の雰囲気やメニューの写真を投稿したり、キャンペーン情報を掲載することで来店を促す効果が期待できます。

リピーター対策を行う上での注意点

飲食店におけるリピーター対策は、店舗の安定的な経営に欠かせない要素です。ただ、リピーターを増やすための施策を行う上で、いくつかの注意点があります。

新規顧客の集客もバランスよく実施する

リピーターに手厚いサービスを提供することは大切ですが、新規顧客への対応を怠ることは禁物です。前述した通り、既存顧客の方が新規顧客よりも集客コストが抑えられ効率的に利益を得ることが可能ですが、新規顧客の集客は継続的に行わなければ、顧客数自体は減り売上減少に繋がります。一般的に、新規顧客と既存顧客の割合は2:8もしくは3:7が望ましいとされています。

また、新規顧客の集客施策は既存顧客との関係構築とは異なる側面を持つため、別の施策として考えることが重要です。

全てをリピーター基準で考えることはしない

リピーターの獲得を重要視するあまり、常連客至上主義的な雰囲気が店内全体に生まれてしまうことがあります。スタッフが常連客と話し込んでいて新規顧客のオーダーを取り忘れたり、料理の提供が遅れたりなど、新規顧客へのおざなりな対応に繋がり顧客離れが進んでしまう恐れがあります。リピーターを特別視しすぎず、一定レベルのホスピタリティを顧客全体に提供できるような意識付けが重要です。

さいごに

飲食店におけるリピーター対策の必要性やメリット、具体的な対策についてご紹介しました。飲食店において、リピーター対策を行うことは、単なる売上向上だけでなく店舗の安定的な経営、さらにはブランド力向上に繋がります。新規顧客集客とのバランスをとりながら、ここで紹介したリピーター対策を是非実践してみてください。



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