【無料テンプレ付き】飲食店の新人教育チェックシート作成と運用のコツ

【無料テンプレ付き】飲食店の新人教育チェックシート作成と運用のコツ

属人化しない効率的な新人教育は、飲食店においてよくある課題のひとつだと思います。本記事では、チェックシートを活用した新人教育やチェックシートの作成・運用方法について解説します。飲食店経営者の方は是非ご覧ください。

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飲食店における新人教育の重要性

飲食店における新人教育は、お店の成功にとって非常に重要です。ここでは、新人教育をしっかり行うことによるメリットなどを解説します。

新人教育を徹底することによるメリット

飲食店における新人教育を徹底することのメリットは、多岐にわたります。ざっくり言うと、以下の5つのポイントに集約できます。

サービスの質向上

徹底した新人教育は、店舗のサービス均一化と質の向上に直結します。メニューの知識や接客スキル、衛生管理などをしっかりと学ぶことによりスタッフ間で提供するサービスに質の差がなくなり、お客様はいつでも安心してサービスを受けることができるようになります。

顧客満足度の向上

安心して質の高いサービスを受けられるという安心感は、顧客満足度の向上に繋がります。顧客満足度が高ければリピーターの増加にも繋がり、店舗の売上げに直接的に良い影響を与えます。

業務効率と生産性の向上

新人が業務を早く習得し問題なくこなせるようになれば、既存スタッフの負担が減り店舗全体の業務がスムーズに回るようになります。これによってオーダーミスやトラブルなどが減り、生産性の向上が見込めます。結果的により多くのお客様に対応できるようになり、売上げ向上にも繋がります。

従業員のモチベーション向上と定着化

教育が手厚い職場では、新人は「大切にされている」と感じながら働くことができます。分からない点なども気軽に質問できる環境を整えることで、新人のモチベーションが向上します。また、それにより早期離職を防ぎ、定着化の促進にもなります。

離職率が下がれば新たな人材の採用や教育に掛かるコストも大幅に削減でき、安定した経営に繋がります。

ブランドイメージの向上

スタッフの質の高い接客サービスは、店舗のブランドイメージ向上に繋がります。また、クレームや緊急時の対応方法も早い段階でしっかり教えることで、予期せぬトラブルにも冷静かつ適切に対応できるようになります。これは店舗の評判を守る上でのリスクマネジメントにも繋がり、長期的な信頼構築に貢献します。

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新人教育にチェックシートを活用するメリット

新人教育にチェックシートを活用することは、多くの面で効果的です。主なメリットは以下の通りです。

教育内容の標準化

チェックシートがあることで、教えるべき項目やその順番などが明確になり、誰が教えても一定の質の教育を行うことができるようになります。教える人によって内容が異なったり重要な項目が抜け落ちてしまうと、混乱が生じミスやトラブルにも繋がります。チェックシートを活用することで、新人全員が同じ基礎知識とスキルを習得できる環境を整えましょう。

進捗状況の可視化

チェックシートは、新人が何を学び何をまだ習得できていないのかを視覚的に把握することに役立ちます。教育担当者は新人の理解度に合わせて指導ペースを調整でき、新人は自分の進捗を確認しながら学習することができます。これにより効率的に新人教育を進めることができます。

教育担当者の負担軽減

教育担当者は、チェックシートに沿って教えることで「何を教えるべきか」「どのように教えるべきか」など考える手間が省けます。また、習得状況をチェックシートで確認できるようになるため、指導の効率化にも繋がります。これにより教えるスタッフの負担が軽減されより質の高い指導に集中できるようになります。

新人の不安軽減

教育担当者はチェックシートを通してフィードバックなどを行うことで、「ここが分からない」「ここはもう少し頑張ろう」など定期的なコミュニケーションが生まれるようになります。新人は自分が何をどれだけ出来ているかが明確になると同時に、目指すべきレベルも明確になるため、安心して業務に取り組めるようになります。

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飲食店向け新人教育チェックシートの項目例

新人教育チェックシートを作成する際の代表的な項目について紹介します。

基礎知識・就業規則

店舗のコンセプトやビジョンなどの基礎知識についての項目です。コンセプトやビジョンを理解することで、指示待ちではなく自ら考えて動けるような人材に育つことが期待できます。また、出退勤時のルールやシフトの提出方法、身だしなみの規定などもチェック項目に追加しておくとスムーズです。

  • <項目例>
  • 店舗の理念・方針:コンセプトや目指している者、提供したい価値などの理解
  • 身だしなみについて:髪色や髪型、ネイル、装飾品についてのルール
  • 出勤時と退勤時のルーティン:タイムカード打刻など、出退勤時のルール

基本業務

開店までに準備することや閉店後の作業、店舗清掃や備品補充など、毎日発生する基本的な業務についての項目です。ヌケモレが内容に確認しながら項目化していきましょう。

  • <項目例>
  • 開け作業:開店までに準備すること
  • 備品の補充:備品の補充ルール、ストック場所の説明
  • 店舗清掃のルール:場所や頻度、ルールについて

接客スキル

接客時に必要な業務についての項目です。お客様が来店してから退店するまでの一連の流れをチェック項目にしましょう。接客は臨機応変に対応することも求められるため、様々なパターンでロールプレイングを行うなどのチェック項目があると効率的です。

  • <項目例>
  • ファーストコンタクト:来店したお客様への声掛けや案内内容
  • 接客時の言葉遣い:基本的な接客ワードの共有
  • 接客のロールプレイング:様々なパターン想定してロールプレイングを行う

調理スキル

キッチンでの料理やドリンク作成に関する項目です。キッチン内の基本ルールやレシピの把握、食材の保管や管理、発注業務についてなど、どのスタッフが担当してもクオリティが均質化されるようなチェック項目を作りましょう。

  • <項目例>
  • レシピの把握:各メニューのレシピを覚える
  • 料理の提供ルール:提供スピードや温度、盛り付けなど
  • 食材の保管・管理方法:食材ごとの使用期限や冷凍・冷蔵保管などを把握

衛生管理

店舗の清掃やゴミの処理、スタッフやお客様が利用する席などに関する衛生管理の項目です。店内が清潔に保たれるようなチェック項目を作成しましょう。

  • <項目例>
  • 店内各所の清掃:トイレや手洗い場所の清掃方法と頻度
  • ゴミの分別・出し方:ゴミの分別種類、各ゴミの捨て方
  • 手洗い・手指消毒:手洗いや手指消毒を行う頻度ややり方のルール
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飲食店向け新人教育チェックシートの作成手順

効果的なチェックシートを作るには、段階を踏んで計画的に進めることが重要です。ここではチェックシートの作成手順を解説します。

教育目標の設定

チェックシートの作成に入る前に「誰に、何を、どのように教えて、最終的にどうなってほしいか」を明確に言語化することが重要です。目標を設定することで教える側と教わる側が共通のゴールを認識でき、一貫した教育を進めることができます。

教育目標は、「SMART」の原則に沿って設定すると効果的とされています。

  • Specific(具体的である)
  • 「お客様に良いサービスを提供する」ではなく、「お客様に笑顔で挨拶し、オーダーの復唱を正確に行う」のように、誰が見ても理解できる具体的行動で示します。

  • Measurable(測定可能である)
  • 「できるようになった」だけでなく、「3日以内にレジ操作を一人で完結できる」「クレーム対応マニュアルを理解し、8割以上のケースで初期対応ができる」のように、達成度を測れる指標を含めます。

  • Achievable(達成可能である)
  • 新人の現在の能力や期間を考慮し、現実的に達成できる目標を設定します。高すぎる目標はモチベーション低下につながります。

  • Relevant(関連性が高い)
  • 設定する目標が、個人の役割や店舗の目標、コンセプトに合致しているかを確認します。

  • Time-bound(期限が明確である)
  • 「〇月〇日までに」「研修期間終了時までに」のように、いつまでに達成するかという期限を設けます。

上記を踏まえ、実用的で効率的な教育目標を設定しましょう。

評価基準の設定

教育目標を設定したら、その目標が達成できたかどうか、またはどの程度達成できたかを測るための具体的な物差しを定めましょう。漠然とした「良い・悪い」ではなく、誰が見ても同じような判断ができる明確な尺度を設けることで、正確な評価ができるようになります。

評価が客観的であることが前提ですが、複数視点での基準を設けることも有効です。飲食店の業務においては量(スピード、回数)、質(正確性、丁寧さ)、態度(積極性、協調性)の3つの視点から評価基準を設けると良いでしょう。

  • <例>オーダーを取る
  • 量:「1度のオーダーを〇分で処理できる」
  • 質:「お客様からの質問にも対応でき、ハンディの打ち間違いがない」
  • 態度:「お客様に笑顔で対応し、スムーズにオーダーを終えられる」

項目の洗い出し/優先度付け

教育目標と評価基準を設定したら、業務の洗い出しと細分化を行います。ホール、キッチン、レジなどポジションごとに分け、それぞれ詳細な手順を整理します。この時点で属人化している業務があれば標準化しておくようにしましょう。

次に洗い出した項目の優先度付けを行います。新人教育においては、優先度が高いものから教えるようにしていきます。優先度を考える際には、緊急度と重要度で項目を整理するアイゼンハワーマトリクスを利用すると効率的です。

アイゼンハワーマトリクスを利用した優先付けの例

カテゴリ 重要度 緊急度 意味 飲食店での例
A. 最優先事項 すぐに着手すべき最重要項目。 後回しにすると重大な問題が発生する。 ・出退勤時のルール
・衛生管理(手洗い・消毒など)
・料理・ドリンクの提供
B. 計画事項 重要だが、緊急ではない項目。 計画的に時間を設けて取り組むべき。 ・メニュー全般の知識習得(アレルギー情報含む)
・オーダーの取り方の効率化
・スタッフの名前を覚える
C. 委任事項 緊急だが、重要度は低い項目。 他のスタッフに任せられるもの。 ・店舗清掃の細かい手順
・備品ストックの収納場所
・手書きPOPの書き方
D. 削除・検討事項 重要度も緊急度も低い項目。 不要であれば削除、必要であれば見直し。 ・特定の常連客の好みを覚える
・季節ごとの装飾品配置
・店舗の歴史などの把握

上記のように、各項目を「重要度」と「緊急度」の2つの軸で評価し、4つのカテゴリに分類します。カテゴリAに分類された項目が最優先事項なので、新人教育の際はこの項目を先に教えるようにし、チェックシートもそれに倣うようにしましょう。

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新人教育チェックシート運用の注意点

新人教育チェックシートは、適切に運用してこそ新人の成長を促し、店舗全体のレベルアップに繋がります。ここでは、チェックシート運用における重要な注意点を解説します。

教育担当者と連携する

チェックシートを実際に活用する教育担当者の理解と協力は不可欠です。なぜこのチェックシートを使うのか、チェックシートを使いどのような状態を目指すのかを教育担当に伝えておくと認識の相違が減り効率的です。その他にも評価基準の共有や、チェックシートの活用途中で問題があった際にどうするかなど、細かい部分までしっかり擦り合わせを行いましょう。

「チェックをすること」が目的にならないようにする

チェックシートはあくまでも、新人教育を効率的に進めるためのツールに過ぎません。目的は「新人の熟練度を上げて早期戦力化すること」や「長期的に貢献してくれる人材にすること」などのはずです。

チェックをすることを目的にしてしまうと、各項目の内容を理解していなくても「やったこと」として処理されてしまい意味をなさなくなってしまいます。

定期的フィードバックと見直しを行う

チェックシートは「できる・できない」「やった・やってない」のチェックだけではなく、それをもとに新人にフィードバックすることも重要な役割のひとつです。月に一度など定期的に振り返りの時間を設け、進捗確認の時間を設けましょう。

また、チェックシートは都度改善していく視点を持つことも重要です。新人や他のスタッフからフィードバックをもらい、チェック項目の改善や追加など見直すことで常に最適化されたチェックシートを運用することができます。

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新人教育チェックシートのテンプレートを以下から無料ダウンロード可能です。Excelで作成しているので、自店舗に合わせてカスタマイズいただけます。是非ご活用ください。

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さいごに

飲食店の新人教育チェックシートの作成や運用、項目例を紹介しました。チェックシートは作成する前に目的や評価基準を設定することや、各所とコミュニケーションを取って作成・運用していくことが重要です。効率的な新人教育を実現するために、チェックシートを効果的に活用していきましょう。


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