売上げアップにつながる間取りとは?飲食店舗設計の秘訣【開業チェックシートDLあり】

売上げアップにつながる間取りとは?飲食店舗設計の秘訣【開業チェックシートDLあり】

飲食店の間取りは、売上げや回転率、顧客満足度に直結する重要な要素です。適切な間取りを設計することで快適な店内環境を作ることができます。本記事では、飲食店の売り上げを最大化するための間取り設計の基本や具体例、注意すべきポイントについて解説します。

売上を最大化する!間取りがもたらす3つの効果

飲食店の売上最大化において、間取りは非常に重要な要素です。間取りがもたらす主な効果を3つにまとめました。

【効果1】顧客の滞在時間と満足度向上

飲食店の間取りがお客様に与える「居心地の良さ」は、滞在時間に直結します。

テーブル間の距離感が近すぎず適切に保たれていることで、お客様は隣の会話を気にせずプライバシーが守られていると感じます。これによりリラックスすることができ滞在時間が長くなる傾向があります。

また、ソファ席などの座り心地の良い椅子は、お客様がゆっくりしたいという気持ちを促し滞在時間も長くなりがちです。カフェやお酒を提供するレストランなど長居を前提とした飲食店では重要な要素です。

【効果2】スタッフの導線効率化と回転率アップ

入口から客席、トイレへのスムーズで分かりやすい動線は、お客様にストレスを与えず快適に過ごしてもらうために重要な要素です。迷ったり他のお客様や従業員とぶつかったりするような不便さがあると、居心地の悪さを感じ早々に退店したくなってしまいます。

また、キッチン・ホール・レジの導線を整えることで、下膳や席のセットがスムーズになり次のお客様のご案内時間を短縮できたりと、全体の回転率アップに貢献できます。

【効果3】機会損失防止と集客力の向上

一人客向けのカウンター席、少人数向けのテーブル席、グループ向けのソファ席、プライベートな半個室など、多様な席種があるとお客様は自身の利用シーンに合った場所を選べます。これによりニーズに合わせた快適な滞在が可能になり、集客力アップが期待できます。

また、それぞれに合わせた席種を用意しておくことで、一人客を大きなテーブルに案内してしまって後から来た複数客をご案内できなかった、などの機会損失防止に繋がります。

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「飲食店の間取り」失敗しないための基本の設計ポイント

飲食店の間取り設計は、お店の成功を左右する重要な要素です。失敗しないためには、以下の基本ポイントを押さえておくことが不可欠です。

レジ・エントランスエリアの工夫

お客様がお店に入ってから退店するまでの顧客導線を考えます。この動線はスムーズで分かりやすく、ストレスがないように設計しましょう。お客様だけではなくスタッフ導線も考慮します。お客様を席へご案内し、レジで会計を行うまでの導線を顧客導線とかぶらないように設計することが重要です。

客席エリアの最適化

顧客のニーズに対応し、売上を最大化するために客席の設計は非常に重要です。客層に対してカウンター・テーブル・個室のバランスは適当か、席から見える景色に問題はないかなどをチェックしましょう。席種は飲食店の種類や顧客層によってバランスを決めると効率的です。下記にそれぞれの席についてまとめていますのでご参考ください。

  • カウンター席
    一人客やサッと食事を済ませたいお客様向け、厨房の活気を伝える演出にも
  • テーブル席
    2~4名程度の一般的な利用に、レイアウトの柔軟性が高い
  • ソファ席/ボックス席
    ゆったりとくつろぎたいグループやファミリー向け
    滞在時間を延ばす効果も期待できます
  • 半個室/個室
    プライバシーを重視するお客様やビジネス利用、特別な日の利用に
    客単価アップにもつながります

厨房エリアの効率化

厨房は飲食店の心臓部であり、その設計が料理の提供スピードと品質を決定づけます。食材の搬入から、調理、盛り付け、配膳、そして食器洗浄までの流れが一方通行でスムーズになるように設計します。厨房で出たゴミの集積や搬出ルートなど衛生面にも考慮しましょう。無駄な動きや交差をなくすことで、従業員の負担を減らし提供スピードアップに繋がります。

また、厨房は導線だけではなく広さも重要です。混雑したときを想定し、複数のスタッフが同時に作業できる通路幅を確保しましょう。

その他、見落としがちな重要スペース

倉庫やスタッフルーム、トイレ、ゴミ置き場なども、見落としがちですが店舗運営の効率に直結する重要な要素です。以下にそれぞれのポイントをまとめました。

  • 倉庫
    食材、飲料、備品などを効率的に保管できるスペースを確保します
    整理整頓がしやすく、必要なものがすぐに取り出せるような収納計画が重要です
  • スタッフルーム
    着替えや休憩を行うスタッフルームは、全体のスタッフ数や一度に休憩を行うスタッフの数に合わせて広さを決めましょう
    個人ロッカーを設置してプライバシーを配慮したり、手洗い場を設置して衛生管理も意識しましょう
  • トイレ
    トイレは客席から見えないところに配置することが理想的です
    スペース的にそれが難しい場合は、音や臭気が客席に干渉しないような対策を行い、目隠しとしてパーティションや観葉植物を置くなど配慮しましょう
  • ゴミ置き場
    営業中に出たゴミを一時的にストックしておく場所を確保しましょう
    搬出しやすく、客席から見えない、臭気が気にならない場所に配置することが重要です
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カテゴリ別!飲食店の間取りアイデア

飲食店の間取りは、提供する料理のジャンルやコンセプトによって大きく変わります。ここでは、カテゴリ別に間取りのアイデアをご紹介します。

カフェ・喫茶店の場合

カフェや喫茶店は、1人での休憩や作業、友人との食事など、様々な目的で利用されます。

おすすめの席タイプは以下の通りです。

  • カウンター席
    一人客やバリスタとの会話を楽しみたい人向け
    電源を設置すると作業スペースとしても人気
  • 2人掛けテーブル席
    カップルや友人と、配置換えしやすい可動式のものが便利
  • ソファ席/ベンチ席
    ゆったりとくつろぎたい人向け、長居してもらいやすい
  • 大テーブル
    ノマドワーカーやグループ利用に、相席を前提としたデザインにすると回転率も上昇

カフェ・喫茶店は、お客様がレジカウンターで先に注文と会計を行う前払い形式と、帰る際に伝票をレジに持っていき会計する形式があります。特に前者はエントランス付近に行列ができやすくなるため、入り口を塞がないようにする、座っている人の近くに行列ができないようにする、などの配慮が必要です。

居酒屋・バーの場合

居酒屋やバーは、お酒と共に食事や会話を楽しむ場所です。客層やコンセプトによって間取りの自由度が高いのが特徴です。

おすすめの席タイプは以下の通りです。

  • カウンター席
    バーテンダーや店主との会話を楽しみたい人や一人客に最適な席
    目の前で調理が見えるオープンキッチン型も
  • テーブル席
    掘りごたつ・座敷:足を伸ばしてくつろぎたいグループ客向け
    個室・半個室:プライバシーを重視したい接待や宴会に、防音性も考慮すると◎
    ボックス席:少人数のグループで周りを気にせず楽しめる

居酒屋・バーは品数が多く追加注文が頻発するため、提供スピードを考慮した配置や導線が重要です。料理提供とドリンク提供の場所を分けて混乱を避けるなどの工夫も必要です。また、酒類を提供するお店では、喫煙スペースを確保しておくと顧客満足度向上に繋がります。

レストランの場合

レストランは、料理の提供だけでなく、食事体験全体を重視します。

おすすめの席タイプ、配置のポイントは以下の通りです。

  • テーブル席
    2人掛けから大人数まで対応できるよう、様々なサイズのテーブルを用意
    席間隔:ゆったりとした席間隔を保ち、プライベート感を確保
    窓際席:景色を楽しめる窓際席は人気が高いため、優先的に配置を検討
  • 個室/半個室
    会食や記念日利用など、特別なシーンに対応できる個室は重要です
  • その他
    エントランス・ウェイティングスペース:入店から案内までの待ち時間も快適に過ごせる空間を確保する

レストランは価格帯にもよりますが、食事自体を楽しむために利用されることが多いことから、各席の過ごしやすさやプライベート感の演出が重要です。お客様が入店してから帰るまでの導線にストレスがないよう、配慮しましょう。

ラーメン店・ファストフードの場

手軽さやスピード感が重視される業態のため、間取りもそのように考慮して配置する必要があります。

席タイプは以下の通りです。

  • カウンター席
    滞在時間が短く一人客も多いため、カウンター席が中心となることが多い
  • テーブル席
    2名~4名で座れる席を複数用意し、グループに対応できるようにする

回転率を高くすることが利益につながる業態のため、個室やソファ席など居心地が良い席を用意すると長居されてしまい利益の低下に繋がります。お客様もスピードを求めていることが多いため、自動券売機やモバイルオーダーを導入し、待たせない工夫が顧客満足度向上に繋がります。

また、テイクアウトを実施している店舗は、店内飲食とテイクアウトで導線を分けることで混雑を緩和することができます。

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間取り設計で注意すべき落とし穴

飲食店の間取り設計は、魅力的な空間を作る一方で見落としがちな「落とし穴」もいくつかあります。ここでは、特に注意すべきポイントをご紹介します。

法規制の確認

間取りを考える上で、法規制の確認は重要です。これを怠ることで開業が遅れたり追加工事が必要になったり、最悪の場合は営業許可が下りないなどの重大な問題に発生する可能性があります。主な法規制は以下の通りです。

建築基準法

建築基準法は、建物の安全性、構造、避難経路などに関する基本的なルールを定めている法律です。間取りの設計に関わる部分では、非常口と最も遠い席までの距離や通路幅に規定があります。

また、火災発生時に延焼を防ぐ目的で、一定の面積ごとに防火区画を設ける必要があります。具体的には防火扉や垂れ壁の設置がそれにあたり、間取りに直接影響してくるため注意が必要です。

消防法

消防法は、火災の予防と発生時の被害拡大防止に関するルールを定めています。建築基準法にも規定されていますが、特に火を使用する厨房と客席の間に防火区画を設けることが場合によっては必要とされ、一定の高さの垂れ壁の設置や防火扉の設置が求められます。

建築基準法にもありましたが、消防法でも避難経路の幅や数、障害物の有無などが厳しく定められているため、間取りを考える前にしっかりとチェックしましょう。

食品衛生法

食品衛生法は、食品の安全性を確保し食中毒などの健康被害を防ぐための法律です。厨房設備に様々な規定があり、シンクの数と大きさが指定されていたり、手洗い場の設置が義務付けられています。厨房内の間取りに影響する部分なので、事前に確認するようにしましょう。

バリアフリー法

バリアフリー法は、高齢者や障がい者、妊婦や乳幼児連れの方々など、より多様な人々が円滑に利用できるように環境整備することを目的とした法律です。

店舗の規模によりますが、車椅子の方も利用しやすい通路幅の設定やスロープ、手すりなどの設置が義務付けられることがあります。

予算との兼ね合い

予算は間取りの実現可能性や品質を大きく左右する要因です。予算が明確でなければ、どのような厨房機器を導入できるのか、個室をいくつ作れるのかなどを決めることができません。

理想の間取りと予算の間にギャップがある場合、何が「必須」で何が「理想」なのかを明確にし、優先順位をつけることが重要です。この優先順位は店舗のコンセプトによっても変わってくるため、しっかりとコンセプトを落とし込んで間取りを考えるようにしましょう。

将来的な業態変化も見据える

出店エリアの客層変化や経営母体の変更などにより、店舗の業態を変化させることは往々にしてあります。例えばカフェを経営しているが、夜間の集客が芳しくないため夜はバーとして運営する、居酒屋として経営しているが昼は異なる客層向けにランチ営業を行う、店内飲食メインだったが人手不足によりテイクアウトメインに切り替える、などがそれにあたります。

このような業態変化にも対応できるように、内装はある程度シンプルな仕様にし様々なニーズに柔軟に対応できるようにしておくことをおすすめします。

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飲食店開業に必要なことをチェックリストとしてまとめました。下記から無料でダウンロードいただけますので、是非お役立てください。

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さいごに

飲食店の間取り設計について解説しました。間取りは、店舗オープン後に大幅に変更することはできないため、準備段階でしっかりと考える必要があります。売上を最大化するために熟考していきましょう。