飲食店を間借りで開業するメリット・デメリットと成功のコツ【資料DLあり】

飲食店を間借りで開業するメリット・デメリットと成功のコツ【資料DLあり】

間借り飲食店は、少ない初期費用で開業できる点から近年注目されています。本記事では、間借り飲食店のメリット・デメリットと、成功するためのポイントを解説します。

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飲食店の間借りとは?

飲食店の間借りとは、すでに飲食店として営業している店舗の空き時間やスペースを借りて、自分の飲食店を営業する形態のことです。

間借り飲食店の例

間借り飲食店は、貸し出す店舗の営業時間帯や曜日によって、大きく3つのパターンに分けられます。

昼と夜で営業時間を分ける

間借り飲食店としてスタンダートなのがこのパターンです。 営業時間が重ならずお互いの営業に干渉しないため、トラブルも少なくスムーズな営業が可能です。昼間はカフェとして営業し夜間はバーとして営業するなどが主な例として挙げられます。

曜日で営業日を分ける

店舗の定休日に間借りするパターンです。 定休日を有効活用したいオーナー(貸し手側)と、週末だけの営業を希望する借り手側のニーズが一致しやすい点が特徴です。平日は会社員にランチを提供する洋食屋として営業し、週末はファミリー向けの飲食店を営業する、などが例として挙げられます。

スペースを共有する

ひとつの店舗内で、スペースを区切って共同で営業するパターンです。 2店舗が同じスペースに共存するため、互いのコンセプトやオペレーションの調整が重要です。集客面でお互いの顧客を共有できるなどの相乗効果が期待できる、というメリットがあります。飲食店の一画に、テイクアウト専門のスイーツショップを営業する、などが例として挙げられます。

間借り飲食店が注目されている理由

間借り飲食店が近年注目されている背景には、主に以下のような要因が挙げられます。

飲食店の開業ハードル上昇

近年の物価高騰の影響を受け、物件取得費用や内装工事費、厨房設備費など開業時に発生する初期費用も高騰傾向にあります。また、廃業リスクが高い個人店は金融機関からの融資を得るハードルも高く、自己資金が十分になければ開業自体が難しいというのが現状です。このような観点からも、間借り飲食店の需要が高まっています。

店舗オーナーの経営環境の変化

コロナ禍の影響で一時的な売上げの低下や廃業に追い込まれる飲食店が増加するとともに、「空いた時間やスペースを効率的に活用したい」という店舗オーナー側のニーズが高まりを見せました。そこに「最低限の投資・最小限のリスクで飲食店を始めたい」という借り手側のニーズとマッチングし、間借り飲食店の普及が進んだと考えられます。

副業・パラレルワークニーズの増加

近年、働き方改革や働き手の価値観の変化により副業やパラレルワークのニーズが増加傾向にあります。少ない自己資金で始められる間借り飲食店は、副業として対面店舗経営を希望する経営者の需要にベストマッチングすると言えます。

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飲食店を間借りする3つのメリット

飲食店を間借りするメリットは、主に以下の3点が挙げられます。

開業資金・初期費用を大幅に抑えられる

独自で店舗を借りて開業する場合、物件取得費・敷金礼金・内装工事費など初期投資が高額になりますが、間借りなら既存店舗のスペースや設備を使うため、開業資金や月額家賃を大幅に削減することができます。

また、すでに営業許可を取得している店舗を借りる場合、改めて許可申請をする必要がないことも多く、開業までの時間とコストを削減できます。

事業失敗のリスクが低い

少ない初期費用で開業することができるため、出店費用のために多額の借金を抱える必要もなくなります。そのため、経営不振のためにすぐ閉店する状況になったとしても負債を抱えるリスクを低減できます。また短期契約が可能なため、閉店の際の撤退に掛かる費用や手間を最小限に抑えられます。

既存店の集客力を活用できる

間借り先の既存飲食店には、すでに顧客層が存在します。店内にポスターやチラシを置くなどすることで、その顧客に間借りして出店している自店をアピールすることも可能です。また、間借り飲食店の顧客が間借り先の既存店の顧客になるという、双方に集客の相乗効果が期待できます。

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飲食店を間借りする際のデメリット

飲食店を間借りすることには、多くのメリットがある一方で、いくつかデメリットも存在します。主なデメリットは以下の通りです

自由度が低い

既存の飲食店を借りるため、内装やレイアウトを自由に改装することができません。そのため、店舗独自のコンセプトやブランドを店内や店頭で表現することが難しい場合があります。また、利用できる厨房設備も限られるため、提供できるメニューが制限されることもあります。

営業日や時間帯が限られる

間借り飲食店は、間借り先の飲食店の営業時間以外のみ営業することができるため、希望する時間帯に営業できなかったり、営業日数が限られたりすることがあります。

店舗としてのブランド構築が難しい

メインの飲食店と間借り店が混在しているため自店舗のファンや常連を育てにくい、住所が同じのためGoogle Map上での集客に工夫が必要など、「間借り先のイメージやルールに引きずられやすい」という課題があります。

トラブルのリスクがある

間借りして飲食店を経営する場合、間借り先の飲食店オーナーとの関係構築は不可欠です。日頃から良好な関係が築けるように尽力しましょう。コミュニケーション不足によってトラブルに発展してしまうと、退去に追い込まれる可能性もあります。契約内容やルールを細かく確認し、トラブルに発展しないように努めましょう。

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【まとめ】間借り飲食店と通常の飲食店の比較

項目 間借り飲食店 通常の飲食店
開業資金・初期費用 安い
・既存の店舗設備を利用するため、内装工事や厨房機器の購入費用がほとんどかからない。
高い
・物件の敷金・礼金、内装工事費、厨房設備の購入費など、多額の初期費用がかかる。
経営リスク 低い
・初期投資が少ないため、失敗しても損失が少ない。
・比較的短期間の契約が可能で、撤退しやすい。
高い
・多額の投資を回収する必要があるため、経営がうまくいかないと大きな損失につながる。
営業の自由度 低い
・間借り先の営業時間に合わせる必要がある。
・内装やレイアウトの変更、使える設備に制限がある。
高い
・基本的に自由に営業時間や定休日を設定できる。
・コンセプトに合わせた内装や設備を自由に選べる。
営業許可 借りる側が取得する場合と、既存店の許可を使う場合がある
・既存店の許可を利用できる場合が多いが、責任関係を明確にするためにも自身の取得が推奨される。
開業する店舗が独自に取得
・保健所へ申請し、営業許可を取得する必要がある。
集客 既存店の集客力を活用できる
・間借り先の常連客にアピールできるチャンスがある。
ゼロから集客する必要がある
・オープン当初は集客に苦労する場合が多い。自力での広告や宣伝活動が不可欠。
経営の柔軟性 高い
・契約期間が比較的短く、別の場所に移転したり、営業形態を変えたりしやすい。
低い
・長期の賃貸契約を結ぶことが一般的で、場所の変更が難しい。
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飲食店の間借り出店、成功させるための5つのコツ

飲食店の間借り出店を成功させるための5つのコツを、わかりやすく解説します。

1.コンセプトを明確にする

間借り出店では、限られた時間やスペースで顧客の心をつかむ必要があります。メニューを絞り込み、専門性を打ち出すことで「このお店でしか食べられない」という価値を分かりやすく提示すると効果的です。また、「その価値を誰に提供するか」というターゲット層を明確化することも重要です。

2.間借り先を慎重に選ぶ

単に間借りできる場所を探すのではなく、相乗効果を狙えるお店を見つけましょう。以下に間借り先を選ぶポイントをまとめました。

  • 立地と客層
    ターゲットとする顧客層と間借り先の客層が一致しているか、人通りは多いかをチェックしましょう。
  • 営業許可
    間借り先の営業許可証を確認し、自分の業態に必要な許可(深夜営業、酒類提供など)が含まれているか、または追加取得が可能かを確認しましょう。
  • 設備
    調理器具や調理スペース、冷蔵庫、食器洗浄機など、必要な設備が使えるか、また追加で持ち込むことが可能かを確認しましょう。

3.間借り先のオーナーと良好な関係を築く

間借り先の飲食店オーナーや、スタッフとの関係性構築は不可欠です。営業時間、設備使用、清掃分担、トラブル時の連絡手順など、「お互いが納得できるルール」を事前に明確化・契約書で残しておくことがトラブル防止の第一歩です。オーナーとのトラブルで突然閉店に追い込まれることもあり得るため、契約内容やルールを細かく確認しトラブル抑止に努めましょう。良好な関係を築くことで、集客活動に協力してくれたりとメリットも増加します。

4.自力での集客を積極的に行う

出店スペースや営業時間に制約がある分、SNS発信やオリジナルの販促、集客イベント開催など、間借り先の飲食店に頼りすぎず自力でも積極的に集客を行うことが重要です。店頭に固定の看板を設置することができなかったり、Google Map上での集客が難しい間借り飲食店において、SNSを活用した集客施策が効果的です。各SNSアカウントにおいて、営業日時や店内写真、メニュー写真などを掲示するなど積極的に情報発信しましょう。

5.柔軟に改善を繰り返す

売上やリピーター増などの反応や課題は常に観察し、メニューやサービス、運営方法を柔軟に調整することが大切です。最初から完璧を目指すより、「テストマーケティングの場」と捉えてトライ&エラーを続けることが成功に繋がります。

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間借り飲食店を開業するまでの流れ

間借り飲食店を開業するまでの流れは一般的な飲食店開業と似ていますが、間借りならではの注意点があります。ここでは、主要なステップを解説します。

①コンセプトを決める

まずは、お店の土台となるコンセプトを明確にします。間借り先の営業時間や設備、客層などを考慮し「誰に、何を、どのように提供したいか」を考えコンセプトを構築しましょう。

②間借り先を探す

コンセプトが決定したら、それに合う間借り先を探します。間借り専門のマッチングサービスや知人の紹介などを活用して情報収集しましょう。立地や客層、設備と環境、オーナーとの相性などを考慮して選定することが重要です。

③契約・交渉

間借り先が決まったら、契約を締結する前に以下の点を必ず確認し書面に残しましょう。

  • 契約内容
    賃料、利用時間、使用できる設備、光熱費の負担方法、契約期間などを詳細に確認します。
  • 営業許可
    間借り先の飲食店営業許可をそのまま利用できるのか、それとも独自に許可を取得する必要があるのかを保健所に相談して確認します。
  • 物件オーナーの許可
    間借りの又貸し(転貸)は、元の物件オーナーの許可が必要な場合がほとんどです。間借り先が正式な許可を得ているか確認しましょう。

④資格の取得と申請手続き

開業に向けて、必要な資格の取得や届出を進めます。必要に応じて以下の資格を取得しましょう。

  • 食品衛生責任者
    飲食店には必ず1名、食品衛生責任者を置く必要があります。講習会を受講して資格を取得しましょう。
  • 飲食店営業許可
    管轄の保健所に申請し、営業許可を取得します。事前に相談し、設備や衛生面の要件を満たしているか確認しておきましょう。
  • 開業届
    個人事業主として始める場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。
  • 防火管理者
    店舗の規模によっては、防火管理者を選任し、消防署に届け出る必要があります。
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さいごに

間借り飲食店の特徴、メリット・デメリットや成功させるためのポイントについて紹介しました。間借りしての開業は、初期投資や廃業リスクを最小限にできる一方で、既存店に比べて集客がしにくくブランド構築が難しいなどの側面もあります。本記事を参考にしただき、飲食店開業に役立てていただければと思います。