エステ業界における「初回荒らし」とは、エステサロンの初回限定の格安キャンペーンだけを利用する目的で、さまざまな店舗を渡り歩く行為のことです。本記事では、そんな初回荒らしを優良顧客に変えるために、エステサロンでできる対策についてまとめました。サロン経営者の方は是非参考にしてください。
【無料】エステ向けカウンセリングシートをダウンロードするなぜ「初回荒らし」は起こるのか?
エステサロンにおいて、一定数初回荒らしが発生してしまう理由を解説します。
初回限定特典目当て
多くのエステサロンでは、新規顧客を獲得するためのプロモーションとして初回限定で割引メニューや体験コースを提供しています。通常数万円かかる施術を初回のみ数千円で受けられるなど、割引率が非常に高いことも特徴的です。
様々なエステサロンにおいて初回荒らしをする人は、安価な料金で施術を受けたいという考えのもと利用しているため、正規の料金を支払ってリピートする意思がありません。
契約への抵抗
一部のエステサロンでは、初回体験後に高額なコース契約を強く勧誘することがあります。こうした勧誘を避けるために、あえて初回限定のコースだけを狙って利用し、次の来店につながらないようにする顧客も存在します。
これは、「安く施術を受けたい」という顧客側のニーズと、「契約につなげたい」というサロン側の思惑のズレによって生まれる問題です。
顧客満足度の低さ
エステサロンの初回メニューのみ受けて再来店をしない方の中には、初回で期待した効果が得られなかった、という方も一定数います。
「1回の施術である程度の効果を期待していた」お客様と、「初回はサロンの雰囲気や施術の概要を知ってもらい、本格的な効果は契約してから」というエステサロン側との認識のズレから、お客様側に不満が発生してしまうパターンも少なくありません。
また施術の効果以外にも、エステサロンの接客や雰囲気が自分には合わなかった、などの不満を持っている方もいます。
【無料】エステ向けカウンセリングシートをダウンロードするエステサロンの代表的な対策
初回荒らしを防ぐための代表的な対策としては、以下のようなものがあります。
初回の料金設定を調整する
初回価格を極端に安価にしてしまうと、「とにかく安く、お得に施術を受けたい」という顧客層が集まりやすくなります。継続利用してもらうためには、正規価格と初回価格の差を適正にすることが重要です。
また、継続利用することで得られるポイント制度や複数回の来店で得られる特典を用意し、リピートすることへの動機付けを行うことも有効です。「安さ」以外の部分で価値を感じてもらえるような仕組みを作りましょう。
カウンセリングの改善
お客様の悩みや要望について寄り添い、丁寧にヒアリングを行うことで信頼関係を築き「お試し」ではなく継続的な利用を前提とした提案を行います。施術後は、自然な流れで具体的なアドバイスや次の施術の話をした上で次回予約の提案を行うと、継続利用してくれるお客様を増やす効果が期待できます。
アフターフォローの強化
施術後のアフターフォロー強化は、顧客満足度を高めリピート率を向上させるために非常に有効です。具体的な手法をご紹介します。
サンキューメール・メッセージ
施術後や退店後に、施術内容の振り返りや自宅でのケア方法を添えた感謝のメールやメッセージを送ることで、対応が丁寧なサロンだという印象を与えることができます。
また、一言でも手書きのメッセージを添えることで、お客様一人ひとりに対して接客している印象を与えるとともに、特別感が醸成されより深い信頼関係を築くことができます。
定期的なコミュニケーションができるシステム作り
LINEアカウント、その他のSNSやコミュニケーションアプリを利用し、悩み別の美容情報、ホームケア方法、サロンの新しいメニューなどを定期的に発信することも有効な方法です。単なるエステサロンではなく「お客様の美を叶えるための伴走者」としての印象を与え、信頼性がアップすることで次回来店に繋げやすくなります。
アドバイスや施術の提案は、お客様それぞれに合わせた内容を配信するとより効果的です。可能な範囲で個々へのアプローチを行うことをおすすめします。
リピート利用のハードルを下げる仕組みを作る
お客様が「行きたい」と思ったときにすぐに予約できるように導線を整えておくことも有効です。ホームページにリピート利用専用の予約フォームを作ったり、LINEのメッセージで予約ができたり、予約することに対する物理的なハードルを下げることが重要です。
また、回数券やサブスクプランなど、継続利用前提のメニューを価格別に用意しておくと、お客様が自身の予算に合わせて選択しやすくなるのでおすすめです。
【無料】エステ向けカウンセリングシートをダウンロードする初回のお客様を離さないためのカウンセリング術
初回のカウンセリングは、単にサービスを説明するだけでなく、お客様との信頼関係を築き「このサロンに通い続けたい」と思ってもらうための重要なプロセスです。継続利用してもらいやすいカウンセリングのポイントを紹介します。
初回カウンセリングを情報収集で終わらせない
初回カウンセリングは、サービス説明や情報収集だけではなく、お客様がエステサロンに求めることや理想像を共有いただき、それを実現できる場所・人であると信じていただくための時間です。形式的な質問で終わらせるのではなく、お客様の悩みや本音を引き出して寄り添い、信頼関係を築けるかが重要なポイントです。
具体的な質問案を記載するので、参考にしてください。
「いつ頃から、そのお悩みを感じるようになりましたか?」
悩みの期間を聞くことで、お客様が抱えている問題の根深さを理解できます。
「これまで、ご自身でどんなケアを試されましたか?効果はいかがでしたか?」
過去の経験を聞くことで、お客様の知識レベルや、何に効果を感じ、何に不満を持ったかを知ることができます。
「そのお悩みが解消されたら、どんな風に変わると思いますか?」
お客様の「理想の状態」を具体的にイメージしてもらい、施術のゴールを共有します。
「普段のお仕事や生活で、特に気を付けていることはありますか?」
仕事内容や生活習慣が、お悩みの原因になっている場合があります。
「今日はどのような仕上がりを期待されていますか?」
お客様が「今日」求めている具体的なゴールを確認します。
「当サロンや施術について、何か不安な点や気になることはありますか?」
お客様が口に出しにくい不安を、こちらから尋ねることで、安心感を与えます。
悩みへの共感とビジョンの提示
お客様が抱えている悩みを引き出して共感し、その上でビジョンを提示することはカウンセリングを行う上で非常に重要なプロセスです。お客様は「このサロンなら悩みを解決してくれる」と思い、信頼関係が深まります。
共感が伝わるテクニックとしては、お客様が話してくれる悩みに「そうなんですね」「お辛かったですね」など、共感の相づちを挟みます。辛い経験や感情に寄り添い、過去の顧客事例や自身の経験などを交えることで、親近感や説得力が増します。
悩みに共感した後は、その悩みが解決された「未来の姿」を具体的にイメージしてもらうことが重要です。お客様に響くビジョンを提示することで、施術への期待感とモチベーションが高まります。
抽象的な言葉ではなく「お肌のトーンが2段階上がり化粧ノリも良くなります」など具体的に未来像を示しましょう。ただし、ビジョンはお客様の悩みや理想像をしっかりと聞き出し、なりたい未来像を明確にした上で提示しましょう。なりたい未来像と提示するビジョンがずれていると、「分かっていない」と判断され継続利用されない恐れがあります。
お客様に話してもらうための工夫
お客様の話す分量が多いくらいの方が、良いカウンセリングと言えます。照明やBGMや香りなどでリラックスできる環境を作り、対面するのではなく少し斜めに座り威圧感を軽減するなど、お客様が話しやすい雰囲気を作りましょう。
お客様により話してもらうためのテクニックを紹介します。
オープンクエスチョンを効果的に利用する
「はい」「いいえ」で答えられるクローズドクエスチョンだけでなく、お客様が自由に話せるオープンクエスチョンを意識的に使います。以下に例を掲載しますので参考にしてください。
・お肌のことで、どんなことが一番気になりますか?
・理想の状態を言葉にすると、どんな肌(体)でしょう?
・いつ頃から、どのような変化が気になり始めましたか?
・避けたいこと・不安に感じていることは何がありますか?
・1日の中でケアに使える時間はどのくらい取れそうですか?
・今日の施術で“ここだけは”叶えたいポイントはどこですか?
「どんな」「なぜ」「どのように」「どこ」といった言葉を使うことで、お客様自身の言葉で詳しく話してもらうことができます。
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エステサロンの初回カウンセリングで活用できる、カウンセリングシートのテンプレートを下記から無料DL可能です。Excelで作成しているのでカスタマイズも自由にしていただけます。サロン運営に是非ご活用ください
さいごに
エステサロンの初回荒らしと、その対策についてご紹介しました。エステサロンを継続利用してもらうためには、初回だけで終わらせない仕組みと顧客満足度を高めるための接客やサービスが重要です。本記事の内容を、エステサロンの運営やプロモーションに活用いただければ幸いです。