目次
飲食店における「チェックシート」の重要性
飲食店において、チェックシートを活用することは質の高いサービス提供と効率的な店舗運営のために重要です。チェックシートを活用することで期待できる具体的な効果は以下の通りです。
・サービス・品質を標準化させる
・顧客満足度向上、リピート率アップに貢献
・従業員の意識統一、教育に役立つ
サービス・品質を標準化させる
チェックシートを利用することで、サービス管理や品質管理などの業務を属人化せず標準化させることができます。標準化させることでヒューマンエラーが減少し、品質・サービスレベルの底上げを期待できます。また、チェックシートの項目を定期的に見直すことにより、問題点や改善点に迅速に対応できるようになります。
顧客満足度向上、リピート率アップに貢献
チェックシートを活用することによって、全ての従業員が同じ基準でサービスを提供できるようになるため、顧客満足度向上効果が期待できます。接客面だけではなく、店舗環境や衛生面の管理もチェックシートによって標準化することで、来店する顧客に安心感と快適な空間を提供することができ、リピート率アップにも繋がります。
従業員の意識統一、教育に役立つ
ベテラン従業員と新人従業員の意識やスキルの差を埋めるためにも、チェックシートの活用は効果的です。接客や店舗管理の業務で重視する点をチェックシートで確認することができるため、自分自身の足りない部分を可視化することができ、改善の意識付けもできるようになります。また、新人教育の場面でもチェックシートを活用することで研修などが効率的に行えるようになります。
QSCチェックシート(Excel)を無料ダウンロードするQSCとは
QSCとは、飲食店や小売店など来店した顧客に商品やサービスを提供する店舗において、店舗経営を成功させるための指針となる重要な概念です。マクドナルドの創業者であるレイ・クロックが提唱し、「Quality(品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(清潔さ)」の3つの指標で構成されています。
Q:Quality
商品やサービスの品質のことです。料理の味や見た目、提供される食材の鮮度などを指します。提供するメニューの量が一定か、適切な温度か、などの細かい要素も含まれ、価格と料理のクオリティとの妥当性も考慮する必要があります。
S:Service
主に入店からお見送りまでの間の接客サービスのことを指します。お客様への対応の仕方、表情、言葉遣い、対応の速さなど、顧客に良い印象を与えるための指標です。品質の高さを伝えるためにも、接客サービスは重要な要素です。
C:Cleanliness
清潔さのことです。店舗の清掃状態、従業員の身だしなみなど顧客から見えるところでの清潔さと、厨房内の衛生面など顧客から見えない部分の管理状態も重要なポイントとなります。
QSCチェックシートとは
QSCチェックシートは、前述した「QSC」の指標をしっかり守り維持するために活用するチェックシートです。「QSC」の3つの要素に分けて管理していくことで、顧客満足度を高めるための店舗運営を効率的に行うことができます。下記からExcelで作成したテンプレートを無料ダウンロードできるのでご活用ください。細かいチェック項目は店舗ごとに自由に編集いただけます。
飲食店においてQSCを向上させる方法
QSCは飲食店が成功するために不可欠な要素です。QSCを向上させることで、顧客満足度を高めリピーターを増やし、店舗のブランド力を強化することができます。QSCを向上させるための方法を以下のポイントに分けて解説します。
・現状の把握と問題点の特定
・改善策の立案と実行
・効果測定と改善の継続
現状の把握と問題点の特定
まずは店舗の現状と抱えている課題や問題点を明らかにしましょう。現状を把握する方法を3つご紹介します。
顧客アンケートの実施
何度も来店してくれる顧客や新規の顧客にアンケートを実施し、現在の満足度や不満点を答えてもらいます。紙での記入やスマホアプリを利用するなど、回答率を上げるためにもアンケートの形式は顧客層に合わせましょう。また、アンケートに答えた際の特典を用意するなど、答えてもらいやすい環境作りを行うと更に回答率アップが期待できます。
<顧客アンケートの具体例>
(Q)ご注文した料理の感想をお聞かせください
(Q)提供時間は適切でしたか?
(S)スタッフの接客について気になって点はありますか?
(S)メニューの説明は適切でしたか?
(C)店内の清掃状態で気になった点はありますか?
(C)店外の雰囲気にどのような印象を持ちましたか?
従業員へのヒアリング
現在働いている従業員へ、自店舗の良い点や足りない点をヒアリングするのも手法のひとつです。働いている中で気づくことや、客観的な視点で見える問題についての意見を拾い上げることが重要です。
競合店の分析
同じエリアに出店している似た業態の店舗や、競合店としてベンチマークしている店舗を参考にするのも選択肢のひとつです。自ら顧客として来店し、自店舗にはないが評価できるもの、反対に競合店にはないが自店舗にあるものなどを客観的に見て分析することも、QSCを向上させるためには大事なポイントです。
競合店の分析には、SWOT分析やクロスSWOT分析のフレームワークを利用することで強みや課題点を抽出しやすくなり、そこから戦略を考えやすくなります。飲食店のマーケティングフレームワークについては下記記事もご参考ください。
改善策の立案と実行
現状把握や課題・問題点を明らかにしたあとは、改善策を考え実行していきます。
QSCの具体的な目標設定
最初に具体的な目標設定を行い、定期的に進捗を確認することで理想の状態に近づけていきます。具体的な目標については、例えば「Q(品質)」の要素であれば「料理の提供スピードを見直し、請求クレーム件数を月平均1件以下にする」、「S(サービス)」なら、「お客様それぞれに適切で丁寧なアップセルのご案内を実施し、客単価を10%アップさせる」、「C(清潔さ)」であれば、「トイレ清掃を1日3回実施し、常に清潔な状態を保ち備品の補充を欠かさず行う」などです。
チェックシートの作成
設定した目標を達成するための行動を洗い出し、それらをチェック項目としたQSCチェックシートを作成します。これにより目標とチェックシートが可視化され、店舗の理想の状態と従業員がやるべきことが明確になります。
QSCチェックシート(Excel)を無料ダウンロードする従業員教育の実施
作成したチェックシートをもとに、従業員教育を実施します。従業員全体の意識統一を行い、全員が同じ基準で品質管理やサービス提供、店舗清掃が行える状態にします。
効果測定と改善の継続
改善策を実行したら効果測定を行い、改善と実行を繰り返していきます。
定期的な顧客満足度調査
QSC向上の効果測定には様々な手法がありますが、顧客アンケートを実施してその結果から顧客満足度を数値化するという手法が代表的です。具体的なフィードバックをもらえるようなアンケート内容にすることで、改善施策にも繋げやすく効率的です。
従業員からヒアリングを行う
QSCを向上させることは、従業員の満足度を高める効果も期待できます。そのため従業員に個別面談やアンケートを実施してヒアリングし、その結果をもとに効果を測定することも可能です従業員が顧客から直接言われた意見などの吸い上げも行えるので、間接的に顧客の声を拾いあげる副次的な効果も期待できます。
客観的なデータ分析
新規顧客数やリピーター率、客単価、SNSなどの分析を行い、QSC向上の効果を測定することも可能です。QSCは店舗の信頼性や価値、評価を高めることで顧客満足度を向上させることが主な目的であり、その効果は新規顧客数やリピーター率、口コミ評価などの数字に反映されやすい傾向にあります。これらの数字を集計し分析することで、QSC向上の効果を測定できます。
PDCAサイクルの活用
効果測定を行い改善策を立てるところまでできれば、あとはその一連の流れを繰り返していくだけです。計画→実行→評価→改善のサイクルを繰り返して目標達成を目指していくPDCAサイクルは、様々なビジネスシーンで使われているフレームワークです。PDCAサイクルを回していくことで、より良い店舗運営を実行していくことができます。
【PDCAサイクル含む】飲食店向けマーケティングフレームワークを無料ダウンロードする飲食店がQSCチェックシートを活用するメリット
飲食店がQSCチェックシートを活用するメリットは、大きく分けて以下の2つが挙げられます。
・品質・サービスの安定化
・従業員の意識向上と教育
品質・サービスの安定化
チェックシートに基づいて管理していくことで、客観的に品質やサービスの質を評価できるとともに問題点や改善点を速い段階で見つけ出し迅速に対応することができるようになります。チェックシートの内容の整合性なども定期的に確認することで、より高い品質・サービスの提供を行えるようになります。
従業員の意識向上と教育
従業員全員が共通の目標と基準を持つことで、サービスや品質に対する意識が向上するとともに、店舗に対する愛着や従業員同士の繋がりも強固になる傾向にあります。従業員のモチベーションがアップすることで自ら動いて考える力も身に付き、それが店舗全体のサービス向上に繋がります。また、チェックシートを活用することで属人化しない標準化された教育が可能になり、効率的な店舗運営に繋がります。
【7ステップ】QSCチェックシート作成手順
QSCチェックシートを作成するための手順は以下の7つのステップに分けられます。それぞれの項目を解説します。
1.目的を明確にする
2.チェック項目を決定する
3.評価基準を設定する
4.チェックの頻度と担当者を決定する
5.周知と教育
6.チェックシートを運用する
7.定期的な見直し
1.目的を明確にする
QSC向上には、顧客満足度向上や従業員満足度向上、従業員教育などにプラスになる効果が期待できます。チェックシートを作成する段階でメインとする目的を決定しておくべきです。それによってチェック項目も変わってきますので、最初に目的を明確化するようにしましょう。
2.チェック項目を決定する
「QSC」の各チェック項目を考えます。まずはそれぞれのテーマに分け、以下のようにチェックしたいカテゴリをピックアップすると効率的です。
Q(品質): 料理の味、盛り付け、温度、食材の鮮度、提供時間など
S(サービス): 接客態度、笑顔、メニューに関する知識、応対速度、クレーム対応など
C(清潔さ): 店外・店内・厨房・トイレの清潔さ、従業員の身だしなみ、清潔さなど
上記で設定したカテゴリから細分化し、具体的な行動基準をチェック項目に設定します。これにより客観的にな評価ができるようになります。
3.評価基準を設定する
設定したチェック項目に対して、5府段階評価にするのか〇△×にするのか、単なるチェックのみにするのかなど評価方法を決定します。また、各項目に対してどのような状態がそれぞれの評価(○△×など)に該当するのか、評価基準を明確にしておきましょう。
4.チェックの頻度と担当者を決定する
作成したチェックシートは、毎日確認するものなのか、それとも毎週、毎月かなど、チェックの頻度を決定します。作成したチェックシートを頻度ごとに分けて運用するのも分かりやすくて効率的です。また、チェック作業は店舗責任者が行うのか、それとも従業員なのか、その場合は固定なのかそれともシフト制にするのかなど、担当者と責任の所在を明らかにしておきましょう。
5.周知と教育
チェックシートが完成したら、その内容を従業員全員に共有します。目的や意図をしっかり説明し意識統一を図りましょう。また、現場に合わせた運用にするためにも、従業員からの意見は重要です。意見や質問を言いやすい環境作りを意識しましょう。
6.チェックシートを運用する
従業員への共有がしっかりできたら、実際にチェックシートを運用します。運用初期は問題点も出てくると思うので、上手く活用できるようになるまでは都度見直しや修正を行いましょう。また、記入済のチェックシートのデータは今後の改善の参考になることもあるので、すぐに捨てず一定期間保管することをおすすめします。
7.定期的な見直し
チェックシートの内容や評価基準を定期的に見直しましょう。3ヶ月単位や6ヶ月など見直し時期を定例化するのも効率的ですが、従業員の増加、店舗リニューアル、メニューの一新など、新しい環境になったタイミングで見直すことも重要です。
QSCチェックシート(Excel)を無料ダウンロードする【無料ダウンロード】QSCチェックシート
本記事作成方法をご紹介したQSCチェックシートのExcelテンプレートを、上記バナーから無料でダウンロードいただけます。自店舗の運営に是非ご活用ください。
さいごに
QSCは顧客満足度向上のために重要な指標です。QSCを向上させるために品質、サービス、清潔さの3つの観点からチェック項目を作成し、それを活用することで顧客からも従業員からも選ばれる店舗作りを目指しましょう。